鵡川ししゃもふ化場を公開 資源回復願い移転新築
むかわ町は7日、河川の鵡川近くに移転新築した鵡川ししゃもふ化場(同町洋光)を報道陣に公開した。水の流れを自然に近い状態に整えて資源を確保し、安定した産卵環境を向上させることで、ここ数年記録的不漁が続く「鵡川ししゃも」の資源回復を期待している。
新たなふ化場は鉄骨平屋建ての養魚池棟と鉄筋コンクリート造り平屋建ての沈砂・配水槽棟があり、建物の総面積は約745平方メートル。事業費は7億6800万円で、町が2021年度から3カ年で整備を進めてきた。外構工事は23年度に予定しており、鵡川漁業協同組合が施設を管理、運営する。
町や同漁協によると、新しいふ化場は、1級河川の鵡川から直接取水し、良質な水質、環境を確保する。これまではふ化前の状態で放流していたが、近年の調査で海水温の上昇や雪解けの大水などが稚魚、産卵に影響を与えているとの見方もあり、同漁協によるシシャモの水揚げ量は急激な右肩下がり。今年の漁獲量は64・6キロまで落ち込んだ。
新たな施設では、鵡川に類似した養魚池内でふ化させ、越冬することで不安定な気象変動などからの影響を防ぎ、資源の安定化が期待できるという。また来年以降、年間放流を最大1億匹(目標値)まで増大させる計画で、うまくいけば年間18トン相当の安定資源確保につながるという。
同漁協の小定雅之専務理事は、「人工的にふ化までを管理することができ、資源を守り、安定させることを期待している」と話す。鵡川ししゃも目的に町内を訪れる人の客離れを危惧しながら、「早期回復を図っていくのがわれわれの責務。『シシャモのまち』として、再びお越しいただけるよう努力していく」と気を引き締める。
町でも施設の整備を受けて、調査研究機関などと連携を深めるため、新たな組織の設置を進める考えだ。
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