全道優秀賞の賞状（右）と全国推薦の賞状を手に笑顔を見せる佐藤由乃さん

全国推薦された「垢椿」

　【根室】根室高校美術部長の佐藤由（ゆ）乃（の）さん（１６）＝２年生＝の油彩画「垢（あか）椿（つばき）」（Ｆ３０号）が全道大会上位１０点に選ばれ、文化部のインターハイと言われる全国高等学校総合文化祭（美術・工芸部門）に推薦されることが決まった。同校によると根室高校美術部からの全国大会出品は初という。

　佐藤さんは今月６～７日、岩見沢市で開かれた第５６回全道高等学校美術展・研究大会で優秀賞に選ばれ、全国切符を手にした。大会には１８５校から４５０点が寄せられ、うち来年８月の全国大会出場の権利がある１～２年生の作品２３８点の中から上位１０点に選ばれたもの。

　審査結果を会場に見に行った佐藤さんは「優秀賞」の札の横に「全国推薦」の札を見つけた。「最初は『どういうこと？』と意味が分からなかったが、後からすごいことだと知って驚いた」と笑顔を見せた。

　作品「垢椿」の審査員評は「見たことのない表現で、統一感があって色彩表現が豊か」というもの。佐藤さんは「赤椿や椿の花言葉に『控えめな優しさ』といった理想の女性像を思わせる言葉が並んでいたことに『それが本当の女性像なのか』という疑問が絵の題材になった」という。

　女性の表面的な美しさを「赤椿」で、内面の違う部分を「影」で表した。タイトルは「赤」に替えて、よごれを意味する「垢」を使い、頭や髪の毛が赤椿に侵食されていく様と影を色彩豊かに表現。葉脈などの細かな部分は注射器で絵の具を盛った。「最後まで悩んだ」という目の輝きを表すキャッチライトを入れなかったことで絵の重厚さも増した。

　全国大会は来年８月、鹿児島県で開かれる。佐藤さんは初の全国出品に「せっかくなので何か賞を取りたい」と期待を膨らませている。