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函館新聞

函館山の要塞示す標柱発見 ものかき工房・高山さん番組撮影中【函館】

これまでも存在が知られていた南部坂の上にある津軽要塞第一地帯との境界を示す標柱を紹介する高山さん。要塞名が削られているのは名称変更によるものとみられる

二次元コード

 太平洋戦争の終結まで旧陸軍の軍事要塞だった函館山への立ち入りを制限するための標柱のひとつが函館公園近くの民家の敷地内で新たに確認された。ケーブルテレビ局NCVの番組「函館図鑑」の撮影中に案内人の高山潤さん(48)=ものかき工房代表=が発見した。函館山周辺ではこれまで6本が現存することが一般的に知られていたが、今回が7本目となった。

 旧陸軍の函館要塞(1927年、津軽要塞に再編・改称)は1897(明治30)年に函館山で建設が始まり、99(同32)年の要塞地帯法公布に伴い、立ち入りが制限された。「要塞第一地帯」と書かれた標柱は旧陸軍省の所轄地域との間に置かれた〝緩衝地帯〟の始点を示すものという。

 9月に同局で放送した函館図鑑は今回が22作目。高山さんは函館山の要塞をテーマに決め、調査を進めた。軍関係の史料は太平洋戦争終結後に処分されるなどしたため防衛省に該当文書はなかったが、先行研究を参考に函館山で拘束された英国軍人に関わる事件の外交文書を外務省から入手した。

 事件は1902(同35)年6月3日、立ち入り禁止を知らない英国軍艦の艦長2人が「エクササイズ」のため登山し、御殿山第1砲台近くで身柄を取り押さえられたという内容。同年1月に日英同盟を締結したばかりで、「日本側は外交問題に発展しないようにしようとしていた」(高山さん)としつつ、法に基づく正当な措置であると主張。文書に含まれた地図には函館山を取り囲むように立待岬から穴澗海岸近くまで計32本の標柱の位置が示され、砲台など要塞の各施設からおよそ半径450メートルの位置に点在していたことが分かった。

 高山さんはこの標柱の位置を現在の地図に落とし込み、番組は南部坂や函館護国神社、船魂神社近くなど既に知られている標柱を紹介しながら、往時の場所を歩いていく構成とした。撮影中に民家で敷石として使われていた標柱を偶然に発見。住人が軒先を整備した時に近くに捨てられてあった石を活用したことが分かった。終戦時の残存本数は定かではないが、戦後の道路拡幅などによって姿を消していったとみられる。

 今回の発見を高山さんは「すごく興奮した」とする一方、道教育大学名誉教授の遠藤芳信氏や函館産業遺産研究会会長だった故富岡由夫氏ら「先人のおかげ」と感謝する。「終戦まで函館山は入ることもできず、見上げることもはばかられた。標柱は77年前まで戦争があったことを証明している。今後も地域で埋もれているものや一般の人たちの思いを記録していきたい」と話している。

 高山さんが作成した標柱の位置図は二次元コード参照。アンドロイドTVなどで使用できる実証試験中の動画アプリ「ロコテレ動画」で視聴可能。

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