古里の島に思いはせ 元島民の「洋上慰霊」始まる【根室】
【根室】北方領土に眠る先祖を慰霊したいという元島民の思いに応えた「洋上慰霊」が23日、根室港発着で始まった。初日は歯舞群島コースで元島民や後継者20人を含む一行42人がチャーター船「えとぴりか」(1124㌧)で、日ロ中間ラインに向かったが、沖合の波が高く予定を変更。島影を見ることなく船内慰霊となった。
「洋上慰霊」は北方墓参や四島交流などのビザなし渡航事業がコロナ禍による2年連続の全面中止と、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を受けて当面見送りとなったため、千島歯舞諸島居住者連盟(略称・千島連盟)と道が全国から参加者を募って8月10日まで10回の日程を予定している。
「えとぴりか」で日ロ中間ラインの根室側にコースをとり、歯舞群島コースは水晶島沖、国後コースは羅臼側の国後島沖で慰霊を行う。初日は降雨と高波のため根室港出港後、約10㌔進んだノツカマップ沖から引き返すことに。慰霊祭も船内で行った。
根室市在住で、色丹島を開拓した祖父の写真を祭壇に置いて手を合わせた得能宏さん(88)=色丹島=は「もう島へは行けないかもしれないが、(返還運動を)もう少し頑張ると伝えてきた」。山形県山形市の上野毅さん(80)=志発(しぼつ)島=、東京都青梅市の清水敬子さん(77)=同=は兄妹での参加。敬子さんは「船に乗ると父や母を思い出した。生前ずっと島に来たがっていた7歳上の姉の分まで手を合わせた」。十勝管内幕別町の松田久恵さん(82)=同=は兄たちが眠る古里に手を合わせた。「次は上陸してお参りしたい」。
主催者として乗船した鈴木直道知事は「安全最優先で予定を変更したが、無事に慰霊ができた。全10回を終えた映像を、北方領土や元島民の現状を知ってもらうために全国に発信したい」と述べた。千島連盟の脇紀美夫理事長(81)=国後島=は「島影は見えなかったが心の慰霊はできた。われわれとしては本来の墓参を再開できるよう訴えていきたい」とした。
同連盟根室支部の角鹿泰司支部長代行(85)=勇留島=は「返還運動は何もしなければ衰退する。洋上慰霊を行うことで島を諦めないという啓発になる」と一行を出迎えていた。
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