「旧山口邸」移築が完成 宿泊施設化の計画も 厚真町古民家再生プロジェクト
厚真町が「古民家再生プロジェクト」として町豊沢地区フォーラムビレッジで進めていた古民家「旧山口邸」の移築工事が、この春終了し、建物が完成した。町内の一般社団法人が今夏、飲食店や民泊を開業し、多くの人々に親しんでもらう予定。来春には別の古民家1棟をフォーラムビレッジ内に整備し、宿泊施設にする計画もあり、町は「町外からも人が訪れるような施設展開ができれば」と期待している。
町の古民家再生プロジェクトは、歴史的に貴重な古い住宅を将来に向けて伝承していくことが目的。古材や伝統工法をできる限り生かしながら復元し、建物を活用する。
旧山口邸での同プロジェクト活用は、2015年に町豊沢でパン店として再生した「旧畑島邸」に次いで2例目。同邸宅は福井県出身の山口金松氏により1908(明治41)年に町鹿沼地区に建築された。越前型民家と呼ばれる福井県の伝統工法、間取りが特徴で、浄土真宗が盛んな北陸地方、特に福井県で見られるお坊さんの宿泊、休憩の間が座敷の奥に設けられているという。
所有者から建物の寄贈を受けた町は当初、2017年に活用事業者を決め、18年に移築工事に取り掛かる予定だったが、同年9月に胆振東部地震が発生し、着手が遅れた。その後、活用事業者が辞退したため、再度募集し、20年に一般社団法人「Open Town厚真」を新たな事業者に決定。昨年6月から設計など準備を進め、今年3月に完成した。居室5部屋があるほか、土間の部分を店舗として活用する。
町では古民家を交流施設としても位置付けており、一般の見学を受け付けている。町まちづくり推進課は「町の開拓期の文化伝承を知ってもらうとともに、経済活動、観光の呼び水にもしていきたい」と構想を語る。
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