「十勝晴れ」碧雲蔵で醸造 酒米栽培、現体制は今年限り【帯広】
とかち酒文化再現プロジェクト(代表・増田正二帯広信用金庫相談役)は15日、2022年産酒米を使った日本酒「十勝晴れ」の醸造元を帯広畜産大学内の酒蔵「碧雲蔵」に変更することと、22年産分を最後に現体制での酒米栽培を休止する方針を同時に明らかにした。原材料から醸造まで十勝で完結する商品が初めて実現するが、栽培体制の再構築ができなければ、数年後には「十勝晴れ」の販売が終了する可能性もある。
十勝管内には長く酒蔵がなく、地酒復活を目的に10年、同プロジェクトを開始。醸造は田中酒造(小樽市、田中一良社長)が担ってきた。醸造先の変更方針は1月の同プロジェクト連携機関会議で確認。15日に市内の帯信金第2ビルで開いた同会議で、碧雲蔵の醸造を担う上川大雪酒造(上川管内上川町)の塚原敏夫社長が出席し、参画を正式に確認した。
碧雲蔵は20年に上川大雪酒造が十勝の事業者らと立ち上げた十勝緑丘(帯広市、塚原社長)が開設した国内初の大学構内酒蔵。塚原社長は「十勝の地酒として期待に応えられるものを造りたい」と話した。
農家の後継探し 今後の方向模索
一方、原料の酒米「彗星」は、音更町十勝川温泉の農家・白木祐一さん(77)の水田で栽培を続けてきた。現在の面積は2.64ヘクタール。作業は連携機関も協力しているが、管理など主軸は白木さん自身が担う。年齢的な理由もあり、以前から連携機関のJA木野などが後継を探しているが、現時点ではいないとする。
増田代表は「酒蔵の開設も目指したが、法律と採算の壁で断念した経緯がある。田中酒造と白木さんには感謝しかない」とし、「今年収穫分で2年は醸造が継続できる。その間、後継を広く探し、プロジェクトの在り方も検討していく」と話した。
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