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苫小牧民報

鳥の感染症早期発見 登別マリンパークニクスなどによる共同研究チーム ペンギンの死亡例ほぼゼロに

登別市登別東町の水族館、登別マリンパークニクスなどによる共同研究チームが、特にペンギンが感染しやすい呼吸器疾患で、これまで治療困難とされてきた鳥アスペルギルス症の早期発見につながる個体の病態変化を解明し、CT検査による診断や治療の研究成果を学会誌「日本獣医学会公式ジャーナル」に発表した。チームは今後も研究を継続していく考えで「(ペンギンの)生き生きとしたかわいらしい姿を見てもらうため、力を尽くす」と話している。

CT検査を実施するペンギン(提供)

 解明に関わったのは同水族館と帯広畜産大学(帯広市)、麻布大学(神奈川県相模原市)の共同研究チーム。鳥アスペルギルス症は、環境中に存在する真菌(カビ)による肺や気嚢(きのう、鳥類の呼吸器)の感染症。免疫機能が低下すると肺炎などを発症して死に至る。

 世界中の動物園や水族館でペンギンの死亡例が報告されてきたが、診断方法が確立されておらず、治療中の病態を把握する手段も乏しいため治療困難とされてきた。こうした中、チームが2020年に感染予防方法を確立。同学会誌に論文を発表し、飼育技術の発展に貢献した。

 今回の発表内容は、治療に関する研究成果について。チームは、ペンギンへの血液検査を16年から年4回行い、疾患が疑われた個体にCT検査を実施。元気な個体と気嚢の体積を比べたところ、疾患が疑われた個体の気嚢体積が、およそ3分の1減少していることを突き止めた。呼吸器の体積減少が同症診断の指標となることで病気の早期発見につながり、病態の把握が可能になった。

 同水族館では、研究以前に同症で3羽が死亡した年もあったが、現在は研究を生かして現場の消毒と殺菌、早期発見と治療に取り組み、同症による死亡例はほとんどなくなったという。

 研究チームのメンバーで、同水族館の獣医師、松本直也さん(33)は「研究によって、ペンギンたちが病気に苦しめられる時代は過去のものになった。負担の少ない治療法を施すことで、今後はより健康に過ごしてもらえる」と笑顔を見せた。

 チームは16年から同症の予防や治療の研究を進めており、17年に日本学術振興会科学研究費の助成を受け、研究を本格化。20年に予防方法の論文を日本野生動物医学会誌で発表し、21年に野生動物医学会「日本野生動物医学会論文賞」を受賞している。

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