酒米やこうじなどが入ったタンクをかき混ぜる作業をこなす職員

　函館市内に５４年ぶりに誕生した酒蔵「五稜乃蔵」（亀尾町２８）で１３日、日本酒の初仕込みが行われた。同町内で生産される酒米「彗星」とこうじなどがタンクでかき混ぜられると、甘い匂いが漂った。２５日ほど発酵させた後、来年１月中旬に搾り、同月下旬の初出荷を目指す。

　上川大雪酒造（上川管内上川町、塚原敏夫社長）が製造、「函館五稜乃蔵」（漆嵜照政社長）が販売などを担う酒蔵で、１１月末に旧亀尾小中学校跡に完成した。醸造施設や酒などを販売するショップ、醸造などが学べる函館高専の研究室も併設する。

　同酒造副社長で総杜氏の川端慎治さんら５人が作業に当たり、酒米約１８０キロを蒸し、手作業で丁寧に冷やした後、こうじや水などが入ったタンクに入れて混ぜ合わせる作業を何度も繰り返した。精米歩合は７０％の純米酒で、初回仕込み分は７２０ミリリットルで１５００本だが、今後さらに作業を進めて初出荷は計３０００本を予定する。

　酒米について川端さんは「良い手応えを感じている」とし、新酒の出来に期待を込めた。その上で「やっとスタートできた。発酵管理を徹底し、地元の人にこそ飲んでもらえるうまい酒をつくりたい」と意気込みを見せた。