心肺停止の男性救助 保育園の看護師ら3人に消防長表彰、日頃の準備「迅速な動きに」
苫小牧市消防本部は12日、今年6月に市内美園町のみその保育園前の路上で、自転車で走行中に倒れ、心肺停止状態となった市内在住の60代男性の人命救助に貢献したとして、同園の看護師ら3人に消防長表彰状を贈った。3人は「無事に助けられて良かった」と口をそろえる。
表彰を受けたのは、第1発見者の同町の主婦柳谷幸子さん(71)、同園の園長で消防に通報した山村美智子さん(54)、看護師で救急隊到着までの応急手当てに中心的な役割を果たした大野美由喜さん(55)の3人。
6月22日午前11時ごろ、同園前の市道を散歩中の柳谷さんが、後方で「ドサッ」と大きな音が聞こえたため振り返ると、自転車の横で倒れている男性の姿が目に飛び込んできたという。柳谷さんは男性が倒れたまま動かないことに異変を感じて園へ駆け込み、通報を依頼。山村園長が119番した。
大野さんと保育士2人が代わる代わる人工呼吸や心臓マッサージする一方、山村園長は胸骨圧迫に必要な時間を計測。大野さんが園内の自動体外式除細動器(AED)で除細動を1回行うと、男性は息を吹き返した。救急隊が病院へ搬送中の車内では問い掛けに応答できるまで回復し、すでに社会復帰を果たしているという。
同本部で行われた表彰式で、小野勝也消防長は「AEDと皆さんの助けたいと思う心が一つになり、命のリレーはつながった」と感謝した。
同園では事故の1週間前、大野さんを講師に救急救命講習を実施したばかり。大野さんは「園の職員とAEDを使う心構えができていたことで、迅速な動きにつながった」と日頃の準備の大切さを強調した。
山村園長も「職員全員の行動が、男性の命を救った」と指摘。発見者の柳谷さんは「後日助かったと聞き、うれしさがこみ上げた。心を一つにして命を救えた」と顔をほころばせた。
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