苫小牧市で地場産クラフトビールの醸造を通して地域の活性化を目指す会社、「北海道ブルワリー」（高橋憲司社長）は２７日、錦町のクラフトビール醸造所で初めて仕込んだ「苫小牧産ビール」の提供を隣接する飲食店で始めた。この日は関係者約２０人を招いてお披露目会も開き、高橋社長は「多くの方にお世話になり、ようやく完成した。地域に愛されるビール造りを進めたい」と意気込んだ。

「苫小牧産クラフトビール」を満喫

　同社は２０２２年設立。２３年に市内初のクラフトビール醸造所（鉄骨造り平屋建て１００平方メートル弱）を新設したが、酒類製造免許の取得に時間を要し、地場産原料にこだわりつつも委託生産していた。今年９月２７日付で免許が下り、１０月１８日から同所で仕込んだ。

　２７日に発売したのは、苫小牧市で取れるヤチヤナギをホップの代わりに使い、豊かな香りと口に残る甘さを実現した自社ブランド「カムイゲイル」シリーズのうち、小麦ビール・バイツェンの同レタラ。市水道水で仕込んだオール苫小牧産ビールで、レギュラー（４００ミリリットル）は１２３０円、ハーフ（２３０ミリリットル）は９３０円。

　お披露目会は２７、２８両日に開催。初日は関係者約２０人に醸造所を公開し、ビールの特徴や今後の展望などを説明した。高橋社長は「苦みの強いカラハナソウやグランベリーなど地域の良いものをクラフトビールにしたい」と意欲。木のたるでの熟成ビールや日高昆布を使った「だしビール」なども考えており、「来年には市のふるさと納税の返礼品にしたい」と述べた。

　醸造所隣の飲食店で参加者はさっそく苫小牧産ビールで乾杯。寿町の飲食店経営伊勢恭伸さん（５７）は「クラフトビールは癖を連想させるが、優しい味で飲みやすい」と笑顔。錦町の会社経営広瀬雅之さん（５０）も「フルーティーですっきりしている。食前酒にも良さそう」と味わいつつ、「苫小牧の勇気になれば」と新たなまちの特産品に期待を寄せた。