神山茂賞に久保泰さん 「松前藩家臣名簿」編さん【函館】
函館文化会(平原康宏会長)は7日、函館近郊の郷土史研究の功労者に贈る今年の神山茂賞を元松前城資料館館長の久保泰さん(77、松前町豊岡)に授与すると発表した。松前藩士5344人の出自や経歴をまとめた「松前藩家臣名簿」の編さんに取り組み、現存する史料を基に丹念な研究を続けてきた業績が評価された。
久保さんは1946年サハリン生まれ。学校教員として勤めた後、74~2006年まで松前町教委で文化財担当職員として町史編さんや遺跡の発掘調査などに従事。退職後には松前城資料館館長を務める傍ら、松前藩の足軽から重臣まで5344人の経歴を史料を基にまとめ、50音順に整理した「松前藩家臣名簿」を21年11月に自費出版。今年7月には新たに判明した情報を付け足した改訂版を出版した。
選考委員会の杉浦清志委員長は「名簿は今後の歴史学研究を進める上での工具書として貴重な資料であり、誰もが松前藩家臣の詳細な履歴に触れることが可能となるとともに郷土史研究者にとって大きな意義を持つものとなる」と選考理由を説明した。
受賞にあたり、久保さんは「大変ありがたい反面、自分の功績でいただいていいのか恐れ多い」と控えめに喜ぶ。7月に改訂版を出したが「まだまだ整理が必要で盛り込めなかった史料もあった。(編さん作業は)終わりのない仕事で、郷土史研究の手助けとなるよう、体力、気力がある限りは続けていきたい」と意欲を見せた。
神山茂賞は、函館出身の郷土史研究家、神山茂氏(1893~1965年)の功績をたたえ、89年度に創設。函館近郊の郷土史について優れた研究、発掘、出版などに取り組んだ個人や団体に贈られ、今年を含め神山茂賞は23個人、5団体、奨励賞は8個人、4団体が受けている。表彰式は11月7日に国際ホテルで開かれる。
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