河﨑さん地元応援に感謝 直木賞受賞など振り返る【別海】
【別海】今年1月に著書「ともぐい」で第170回直木賞を受賞した町出身の作家、河﨑秋子さん(2020年度釧新郷土芸術賞受賞者)の町民栄誉賞授与式と記念講演会が11日、町生涯学習センターで開かれた。このうち、講演会で河﨑さんは、作家デビューや直木賞受賞などを振り返り、地元の別海町からの応援に感謝の意を示した。
この日は町民ら約300人が参加。河﨑さんは、中学卒業後に離れた同町に25歳で戻り、実家の酪農を手伝いながら、小説を執筆し始めた際の思いなどを紹介した。14年に「颶風(ぐふう)の王」で三浦綾子文学賞を受賞したのを契機に本格的に作家としてデビューしたが、睡眠時間を削りながらの執筆活動に限界を感じ、実家の人手不足、父親の介護などにめどが立ったことや「今書く仕事をやめたら後悔する」との思いで作家活動に専念したことを語った。
22年に「絞め殺しの樹」で直木賞候補となったと日本文学振興会から連絡があった時には詐欺かと思ったことや、翌年に「ともぐい」で再び候補となり、受賞の知らせを出版社の所有する建物で待ち、東京會舘で会見に臨んだことなどをコミカルに説明。「ともぐい」は白糠町が舞台でローカルな内容であったことから、当初は北海道以外の人や現代の生きる人にどう届くか不安だったとの思いがあったとしながらも「自分が送り出した思い以上のものを、読者に受け取ってもらえた」と強調した。
最後に「町内でこれから書いてみたいと思うものがある人は、臆せず自信を持って書き続けてもらいたい。今回、町民栄誉賞を受賞して、別海町は創作活動をする人を温かくサポートできる町だと感じている。次に文化面で町民栄誉賞を受賞する人を温かく育ててほしい」と呼び掛けた。
一方、講演会に先立ち行われた町民栄誉賞授賞式では、曽根興三町長が式辞で「日本国内に別海町の名を広めるとともに、私たちに夢と希望、大きな感動を与えてくれた」と述べ、河﨑さんに表彰盾を手渡した。町民栄誉賞が授与されるのは22年度の森重航さん(スピードスケート)に続いて4人目で、スポーツ選手以外では河﨑さんが初めて。
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