「拠点港」室蘭決定、洋上風力作業のSEP船 24日入港予定、推進活動弾み【室蘭】
大林組(東京)と東亜建設工業(同)が所有する、洋上風力発電設備の要となる自己昇降式作業台船(SEP船)・柏鶴(はっかく)が、室蘭港を拠点港とすることが決まった。24日に入港する予定で、7月5日にセレモニーを行う。室蘭港では清水建設(同)が所有する「BLUE WIND」が母港としており、洋上風力活用による地場産業活性化を目指す室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)の活動などの弾みにもなりそう。
大林組と東亜建設工業は、国内の洋上風力発電所建設市場拡大への対応として、2018年にSEP船の建造に着手。大型化への対応として、クレーンによるつり上げ能力の増強などで設計を変更。23年4月に完成した。造船会社・ジャパンマリンユナイテッド(神奈川)が基本設計から建造までを一貫して担当した。
風車の基礎から組み立てまで対応可能なクレーンを搭載しているほか、洋上風力発電付帯工事や通常の港湾工事にも対応。風車のメンテナンスや地盤調査用の作業台船としても使用可能という。
室蘭では洋上風力関連の産業が徐々に広がりを見せている。「BLUE WIND」は日本製鋼所M&Eが製造した風車タワー用の架台を積み込んで、国内最大級である石狩湾新港での洋上風力発電建設工事に従事している。
市と清水建設は22年、SEP船の母港を室蘭港とする協定を締結した。市によると、昨年はSEP船の入港料や港湾施設使用料として約1400万円が市の収入となったほか、入港手続きを行う船舶代理店に加え、各種作業に伴い鉄鋼、造船工場で経済効果があったという。また、作業員の交代や視察で宿泊が延べ100泊以上あったほか、飲食やタクシー利用による滞在効果もあった。
洋上風力を巡る動きは盛んだ。DENZAI(東京、本店・室蘭)はドイツ社製の2500トン吊(つり)クローラークレーンの導入を決定。10月からの稼働を予定しており、風車の大型化に対応。MOPAの賛助会員である関西電力(大阪)は人材育成の一環として、MOPA正会員・室蘭工業高校での出前授業を開始。MOPAも7月に室工高と日本工学院北海道専門学校を対象とした特別講演を行う計画で、ものづくり、人材育成双方での取り組みが進められている。
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