はしご車で高さ２０メートルから放水する消防職員

　室蘭市消防本部は、春の火災予防運動期間中（２０～３０日）の２２日、入江町の室蘭フェリーターミナルに停泊している津軽海峡フェリー「ブルーマーメイド」で消防総合訓練を行った。船舶火災を想定し、消防職員ら約７０人が消火手順や避難経路を確認して万一に備えた。

　２０１５年、苫小牧沖を航行中だった「さんふらわあだいせつ」の火災や昨年の室蘭－青森航路の就航を機に、初めて船で実施した。今年２月には石川町のごみ処理施設「メルトタワー２１」で、リチウムイオン電池が原因とみられる火災が発生したことから、運搬する電気自動車（ＥＶ）からの出火を想定した。

　「（船の）中央を歩いて」。津軽海峡フェリー社員の誘導の下、乗船客役が素早く避難。「ホースよし」。はしご車は約２０メートルのはしごを展開し、先端に乗った消防職員が勢い良く船体に放水。消防車も海水をホースで取り入れ放出した。

　青山剛市長は講評で「関係者と連携し、安心・安全を守るための動作を確認できた」と振り返った。佐藤健太郎消防長は「実際の船で訓練できたことは貴重な経験。迅速に訓練が進み、日頃の防火意識の高さが表れていた」とねぎらった。

　訓練後には研修会が行われ、同社社員がＡＥＤ（自動体外式除細動器）の使い方を学んだ。消防職員が「船舶事故は重傷や死亡につながりかねない」とし、応急処置の重要性を訴えた。

ＡＥＤの使い方を学ぶ津軽海峡フェリーの社員