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網走タイムズ

高校生がポテチを開発、販売 倉繁醸造のしょうゆ、金印のわさびを使い 販売会は即売れの人気【網走】

「あばしりポテトチップス」を販売する桂陽高の2年生有志

 【網走】桂陽高を3月に卒業した3年生が、同校の授業「課題研究」でポテトチップスの開発に取り組み、市内企業によって商品化。すでに卒業した3年生に代わり、2年生有志がこのほど市内スーパーなどで販売会を行い、予想を上回る数を販売した。生徒たちは「市民の評判も良く、たくさん売れてよかった」と話している。このポテトチップスは今後も市内企業を通じ、継続して販売されることになっている。

「監獄チップス」の姉妹品に挑戦

 同校3年生の商業科目、課題研究は1年間にわたって商品開発や販売実習など、グループごとに取り組むもの。

 ポテトチップス開発に取り組んだのは、同校を卒業した9人。当初は、博物館網走監獄とコラボして何かできないかを考えていたところ、市内の水野商店が販売する「監獄チップス」の存在を知った。

 このポテトチップスは、網走で生産される原材料を使っているが「うす塩味」1種類なことから、違うフレーバーを作り、市民はもちろん観光客にも手にとってもらい、網走の魅力を伝えることで地域活性化になれば―と、商品開発を始めたという。

 まず、手始めに監獄チップスを販売する水野商店を訪れることにしたが、同社から出された宿題が「メンバーがそれぞれ、どんなフレーバーにしたいか考えてきて」というもの。

 これを受け、あれこれと思案したメンバーは、それぞれ「網走ちゃんぽん味」「エビ塩味」「牛乳味」など、網走らしい素材を使った7種類のフレーバーとパッケージデザインを考え、訪問時に提案。「こんなにたくさんのフレーバーを考えてきて、すごいですね」と、驚かれたという。

地元の食材でいけそう?

 2度目の訪問では、バター醤油、鮭味噌、ビートの3つに絞り、改めて提案。しかし、みそやバター、ビートなどの油分を多く含んだものは製造時に機械が汚れてしまい、洗浄に手間がかかるためフレーバーとして使うのは難しいと知った。

 さらに、水野商店から「網走らしさを表現するのに、地元の食材を使用するのはどうか」と、市呼人にある倉繁醸造のしょうゆを提案された。

 網走でしょうゆを作っている企業があることを初めて知ったメンバーは、同社に電話をしたところ、協力の約束を取り付けた。

 そこで、しょうゆベースのフレーバーを改めて思案。ホタテバターやめんたいこなど挙がる中にワサビが現れ「倉繁醸造の呼人つながりで、金印のワサビを使うのは?」というアイデアが出て、フレーバーは「わさび醤油味」に決まった。

新たな問題が浮上

 とんとん拍子で話が進んだものの、ポテトチップスにしょうゆを使うには、液体ではなくフリーズドライに加工する必要があることが判明した。

 メンバーは、水野商店から浦幌フリーズドライ(十勝管内浦幌町)を紹介してもらったが、加工費用に8万円かかると分かり、その経費はどこが負担するかなど、新たな問題も浮上。

 そこで、課題研究を担当する富永薫教諭が、市の「網走市学生活動支援事業」を活用することを提案。メンバーはさっそく市役所に申請し、10万円の交付を受けることができた。

 関係企業や市役所の協力を取り付けたことで新フレーバーの製造準備が整い、水野商店は監獄チップを作っている深川油脂工業(深川市)に、製造を依頼した。

山わさびしょう油味が完成

 昨年12月、深川油脂工業から試作品8袋が水野商店に届き、メンバーも試食。「ほのかに感じるしょうゆのコクと、ピリッとくるワサビの刺激がほどよくマッチしている」「すごくおいしい味になっている」と好評だったという。

 商品名は「あばしりポテトチップス 山わさびしょう油」。当初の計画だった、監獄チップスの新フレーバーとしなかったのは、監獄チップスだと網走で作ったということが分かりづらく、網走以外の土産店などで売られた場合、手に取ってもらえない可能性があるため。

 商品化に合わせて、水野商店がパッケージをデザイン。網走市の紹介や桂陽高の生徒と一緒に作ったこと、市内の倉繁醸造と金印わさびの製品を使っていることなどが書かれているほか、メンバーの集合写真も添付している。

3年生は卒業。販売は2年生有志で

 メンバーが卒業するまでに商品が完成しなかったことから、販売は後輩の2年生から有志6人が担当。生徒や教職員に向けた予約販売の後、市内スーパーで2日間にわたって販売会を開いた。

 校内での予約販売が好調だったことから、手応えをつかんだ2年生6人だったが、いざスーパーで販売を始めるとあっという間に長蛇の列ができ、用意した360袋は1時間足らずで完売。あわてて卸業者に連絡を取り、急きょ360袋を追加するという人気ぶり。

 飛ぶように売れていく人気に、6人も驚くことしきり。「本当に売れるかどうか不安もあったが、売れて良かった」「商品開発した先輩9人に顔向けできる」と〝うれしい誤算〟に顔をほころばせていた。

 同校によると、初回は6千袋を製造。水野商店が取り引きする店舗などで販売される。数量限定の特別販売ではなく、今後も継続して販売していくことから、卒業したメンバーの9人、販売を担当した2年生有志6人らは「ぜひ、市民にもあばしりポテトチップスを味わってほしい」と話している。

「あばしりポテトチップス」を販売する桂陽高2年生の有志

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