網走沖に現れた幻氷（13日午後１時ころ、網走港で）

　【網走】冬とは思えないほど気温が上がった13日、網走沖にはオホーツクならではの自然現象〝幻氷〟が現れているのが確認された。

　幻氷は網走港や鱒浦、藻琴など海岸に近く、海抜が比較的低いところから見ることができた。水平線の流氷が上に長く伸びたり、上下対称になったりと、常に見た目が変わる幻想的な光景が繰り広げられた。

　網走漁港の入り口や国道２４４号のビューポイントパーキングには、話を聞きつけた市民が訪れ、カメラやスマホで盛んに撮影。網走港で幻氷を見た市民は「すごいですね」と話していた。

　中には幻氷と分からず、普通に見えている流氷と思って眺める観光客も。幻氷が現れていることを伝えると「えっ、そうなんですか」と驚き、「タイミング良く見られたラッキー」と喜んでいた。

　幻氷は蜃気楼の一種。実像の下に虚像が現れる「下位蜃気楼」、上に虚像が現れる「上位蜃気楼」がある。

　このうち、下位蜃気楼は〝逃げ水〟と同じ原理で起き、オホーツク海でもたびたび起こるが、上位蜃気楼が発生することはめったにない。

　下位蜃気楼を幻氷に含めることもあるが、上位蜃気楼でできた虚像の流氷を〝幻氷〟と呼ぶのが本来。流氷が水平線で分厚くなったり縦に伸びたり、常に見た目が変化するのが上位蜃気楼の特徴で、本当の幻氷かどうかを確かめる目安になる。