サーモン養殖可能性示す 生残率2・1%も高値で出荷【根室市】
【根室】市は25日、今年度から取り組んだトラウトサーモンの海面養殖実証試験の結果を公表した。稚魚3000匹を約6カ月間育てた結果は、夏場の高水温の影響を受け、生残率2・1%、魚体も目標重量(1匹当たり)の32%にとどまる0・8㌔だった。それでも、市場出荷した54匹は最高値1620円(1㌔当たり)、平均で926円(同)と今後の可能性を示した。来年度は稚魚の大型化などで再挑戦する考えだ。 初年度の今回は、5月下旬に花咲港内のいけすに稚魚3000匹(1匹0・36㌔)を放流。11月下旬まで飼育したが、8月下旬から約1カ月間最高水温22度が続き、この間に大半が死んだ。この結果、生残数は64匹、重量では最大1・5㌔の個体が確認できたものの、1匹当たりの平均は0・8㌔と、目標の2・5㌔には及ばなかった。
未出荷の10匹は試食に回ったが「冷凍してもおいしく食べられることが分かった」と、刺し身だけでなく寿司(すし)ネタとしての可能性も確認された。
市水産研究所の工藤良二所長は「今年の稚魚は多少小さく、環境の変化に弱かった可能性もある」として来年度は今回0・36㌔だった稚魚を0・8㌔まで大型化する方針を示した。稚魚の大型化は「体力のある個体の確保、高水温が予想される際は早めの水揚げ対応も可能になり得る」と話す。
石垣雅敏市長は「生産高を増やさないと人口問題も含めてすべてに影響する。冷涼な地域を生かした養殖には期待している」と話している。
実証試験は、根室市ベニザケ養殖協議会(会長・大坂鉄夫根室漁協組合長)が実施主体となり、市と4漁協などで今年度から着手した。トラウトサーモンは海水温18度以下を好むとされ、本州の春出荷に対し、冷涼な気候を生かした年末年始向けの製品として事業化を目指している。
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