ストーブ囲み思いはせる 高田屋嘉兵衛資料館で「国産第1号」火入れ式【函館】
国産第1号ストーブのレプリカが展示されている函館高田屋嘉兵衛資料館(函館市末広町、酒井賢佑館長、休館中)で25日、34回目となるストーブの火入れ式が行われた。同館を運営する池見石油の社員ら約30人が集まり、極寒に暮らす人々の生活を豊かにしようという先人の知恵と苦労が生み出した暖房器具の誕生当時に思いをはせた。
国産第1号の西洋式ストーブは、箱館奉行の命を受けた蘭学者・武田斐三郎が英国船のストーブを参考に図面を作成し、大町の鋳物師・目黒源吉に製作させた。その試しだきが1856(安政3)年11月25日に行われたことを記念し、函館市民の手によってストーブが復元された1988年から、毎年市民有志でつくる実行委が火入れ式を続けてきた。
2020年に同館が新型コロナウイルス禍のため休館となり、火入れ式は一時中断を余儀なくされたが、昨年3年ぶりに復活。以前のように一般市民に参加を呼び掛けることなく関係者のみでの実施だったが、この日は酒井館長がストーブ完成までのいきさつなどを紹介した後、当時を再現しようと用意した火打ち石で火入れを試みたがうまくいかず、マッチを使ってようやくまきが燃え上がり、参加者の体を温めていた。
同館に使用されている笏谷石(しゃくだにいし)の調査で福井県から訪れていた福島喜衛さんは「貴重なイベントに偶然立ち会えて感激。函館と福井との歴史的結びつきについても、もっと調べていきたい」と話していた。
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