農業の次世代継承で包括連携協定 野菜ソムリエ協会と東農大生物産業学部
【網走】東農大生物産業学部(西野康人学部長)と日本野菜ソムリエ協会(福井栄治理事長)がこのほど、包括連携協定を締結。同学部で締結式が行われ、協定書に調印した。同学部は2012年、同協会北海道支部と包括連携協定を結んだが、同支部が廃止されて東京本部の管轄となったことから、改めて協定を結んだもの。
締結式には、東農大から西野学部長と食香粧化学科の妙田貴生学科長、佐藤広顕教授、同協会からは福井理事長が出席。西野学部長と福井理事長が、それぞれ協定書に調印した後、固く握手を交わして今後の連携深化と農業振興を誓った
協定書によると、両者は農産物に関する教育や研究、文化、地域の産業振興を目的に、相互が連携していく。 佐藤教授は席上、今回の協定締結に至った経緯を説明した。
それによると、道支部と12年に協定を結んで以降、同大オホーツクキャンパスで野菜ソムリエ養成講座を開催。同学部のOBには同資格の取得者が多いほか、中には講師の資格を持つ者もいるという。
新型コロナの感染拡大以降は養成講座の開催が難しくなった半面、これをきっかけにオンライン形式の講座が開かれるようになり、より受講しやすい環境が構築されている。
福井理事長は「日本は世界でも有数のクオリティの野菜や青果を産出しているのに、どうして生産者の経済的な豊かさが伴ってこないのか―という疑問を出発点に、どうすれば1次産業を次世代に継承できるかをテーマとしている」と、同協会の意義を説いた。
その上で、その価値をいかに見いだし、いかに伝達するかを最重要ポイントとした活動が「野菜ソムリエ」という仕組みだとして「東農大とは10年以上の付き合いになるが、今回の協定締結でわれわれの念願である1次産業の継承し、収益的にも成り立つ社会を一緒に作り上げていければ」と、東農大との協定に期待を込めた。
西野学部長は「われわれは研究という側面から野菜と関わってきたが、教育研究機関としてそれを社会に広めていかなければならないし、卒業した学生が社会に出て活躍してもらうためにも、野菜ソムリエ協会とは親和的な面が多い」と、これまでの取り組みを評価した。
また、同学部の学生は農家と直接関わる機会が多く「ここで採れた野菜をどう評価するかも学生には知って欲しい」など、同協会との連携協定は、学生教育という面でも有意義と歓迎。「今後20年、30年と関係を深めていきたい」と述べた。
日本野菜ソムリエ協会は01年に設立。野菜や果物の目利き、栄養、素材に合わせた調理法など、毎日の食生活に欠かせない野菜や果物の幅広い知識を身につけていることを示す民間資格「野菜ソムリエ」を認定している。
資格には「野菜ソムリエ」「同プロ」「同上級プロ」の3つがあり、昨年3月末現在で、全国に約6万1千人の野菜ソムリエが活動している。
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