カズワン見つけた潜水機も 掃海艇「いずしま」入港 市民らに公開、体験航海
【網走】海上自衛隊の掃海艇「いずしま」がこのほど、網走港に入港。船内が一般公開されたほか、体験航海が行われた。
「いずしま」は、すがしま型掃海艇の7番艇で、全長54㍍、排水量510㌧。機雷捜索・掃討用無人潜水機のほか、対水上捜索用のレーダーと可変深度式のソナー、複合作業艇や処分艇などのゴムボートを備えている。2003年に就役し、16年から大湊地方隊函館基地隊第45掃海隊に所属している。
機雷の除去を主な任務としているほか、災害派遣などでも活躍。18年の胆振東部地震では自衛隊の初動対処部隊である「FAST―Force」にも指定され、救援物資を被災地に運んでいる。
昨年4月に発生した知床観光船の沈没事故でも、現地で活動。海底に沈んだ観光船「KAZU I(カズワン)」を発見したほか、羅臼沖で要救助者2人を救助している。
網走港では、午前9時から同11時半まで一般公開された。
乗船して、まず目に入るのは、黄色が鮮やかな無人潜水機。ソナーで探知した機雷を確認するためのカメラと、深い海でも確認できるようライトも装備している。
この機材で、知床沖に沈んだ観光船を見つけたという。事故が起きた昨年4月23日、海保から航空自衛隊に災害派遣要請があり、函館の基地を出航したいずしまは27日、現場海域に到着。翌28日には羅臼沖で海面に浮かぶ要救助者2人を発見し、救助した。
同29日には、知床半島「カシュニの滝」の北で、水中ソナーに船体らしき反応があり、無人潜水機で付近の海底を調査。水深120㍍の海底に沈む「KAZU I」を見つけたという。
この活躍により、いずしまは岸田総理から内閣総理大臣特別賞を受けている。
岸壁にかけられたタラップを降り、乗船した市民らは、真っ先に目に入る無人潜水機を見て「これで見つけたんですね」などと話しながら、写真に収めていた。
船内を見学する市民に、乗組員が「この船はすべて木で出来ています」と聞いた見学者は「えっ」と驚きの声。 甲板などで足元を見ると、フローリングのような板が張られているのが分かり、「機雷には磁気で反応するものがあるので、鉄ではなく木なんです」と説明を受けると、みな納得していた。
接岸した第2埠頭では、いずしまをはじめとした海上自衛隊グッズの販売、また陸上自衛隊美幌駐屯地の装備車両などが展示され、見学に訪れた人たちはみな車両に乗り記念写真を撮るなどしていた。
午後からは体験航海が行われ、申し込んだ70人が、いずしまでの網走沖クルーズを楽しんだ。