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網走タイムズ

古代の製法で鉄が出来た! 子どもたち12人が挑戦 たたら製鉄の体験会

炉を壊していくと、黄色く熱せられた鉄が現れ、子どもたちから歓声が上がった

 【網走】古代の製鉄技術「たたら製鉄」の体験会がこのほど、網走四中裏の空き地で行われた。子どもたちにいろんな体験をしてもらおうと取り組んでいる市内のグループ「わくわくあばしり自然体験」が、後世に伝える人材育成のために開いたもので、参加した子どもたち12人が昔ながらの製鉄に挑んだ。

 たたら製鉄は、ふいごで空気を送りながら行う製鉄法。古代から近世にかけて世界各地で行われたが、日本は熱を加えるための木炭が豊富なこと、各地の海岸を中心に原料となる砂鉄が採取できることから、独自の発展を遂げてきたという。

 今回の体験は、このたたら製鉄をそのまま再現し、砂鉄から鉄を作ろうという試み。学習教材としてのたたら製鉄に取り組んでいる道教育大釧路校の境智洋教授と同大の学生、グループのスタッフがサポートした。

 たたら製鉄が行われていた当時は、未発達な運輸事情から、あらゆるものを地元でまかなっていたとみられることから、材料となる砂鉄は能取で、触媒の役目になるカルシウムも能取湖産ホタテの貝殻を粉末にしたものを使用した。

 製鉄といっても、最初は炉づくりから。地面にブロックを置いて台を作り、そこに赤レンガと鉄板を敷いた上で耐火保温レンガを煙突状に積み上げ、さらに耐火レンガを積んでいった。

 炉が完成したら、小石大の大きさに切り揃えた炭を10㌔ほど入れて火を起こして炉の中を乾燥させ、炉の上から炭と砂鉄、貝殻の粉末を投入。この行程を約60回、繰り返すという。

 その間、ふいごから常に空気を送る必要があり、少しでも途絶えると失敗するといい、子どもたちは絶えずふいごの上でゆっくりと足踏み。交代するときも前の人が降りてから次の人が乗るのではなく、踏んでいるふいごの動きに合わせてタイミングよく交代するなど、苦労しながら空気を送っていた。

 境教授によると、投入する砂鉄は11㌔だが、オホーツク地方の砂鉄はチタンなどの不純物が混じっており、鉄分は5割ほど。さらに、そこからたたら製鉄の行程を加えると、出来上がる鉄は平均2。5㌔ほどしかならないという。

 砂鉄の投入を終え、上から1段ずつ炉のブロックを取り外していくと、下のブロックは熱で真っ赤になっており、周りで見ていた人も顔に熱さを感じるほど。

 最後のブロックを外すと、熱せられて黄色く光る鉄が現れ、歓声が上がった。取り出した大きな塊を水の入ったバケツに入れると「ジューッ!」と音を立てて水蒸気が上がり、数秒もするとバケツの水がぐらぐらと煮立ち始めた。

 ある程度冷めたころに取り出し、欠片の一部を機械で切断すると、炭で黒い表面と違って断面は銀色にきらきらと光っており、まさに鉄。手のひらに乗る程度の大きさでも、見た目以上にずっしりと重く、純度の高さを感じさせた。

 子どもたちは、炉から出てきた鉄をハンマーで叩いて不純物を取り除くと、磁石で採取。集めた鉄は、約3㌔になった。

 体験をサポートした境教授は「その時の気温や湿度など、判断が難しいものもあるが、行程としてはもうグループの人たちでも十分に出来ると思う」と話していた。

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