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網走タイムズ

貧酸素水塊による窒息死か ホッカイシマエビの大量へい死 漁業者ら不安抱え海域清掃へ

サロマ湖の南岸に打ち上げられた大量のホッカイシマエビや魚

 【佐呂間】サロマ湖南岸でホッカイシマエビなどが大量に打ち上がっていた問題で、へい死が確認された水域は、水中の酸素量が著しく低下していたことが分かった。地元の漁業者は17日以降、エビなどの回収を進めている。

 15日朝、同湖南岸に位置する富武士の湖岸約1㌔にわたってホッカイシマエビをはじめ、カレイやカジカ、フグ、ギンポなどの魚類、イサザアミ類などが大量に漂着していた。

 魚類の漂着は幌岩山からトロカチにかけての浜に集中しており、湧別漁協や常呂漁協が調べた他の水域では、へい死や漂着は確認されなかった。

 17日から盆明けの操業を再開した、主力のホタテやカキの異常は、確認されていない。

 佐呂間漁協などによると、サロマ湖では4―6日にかけてサロマのアメダスデータで約100㍉の降雨を確認している。

 10日、操業中の漁業者から「富武士と床丹で湖面の色がおかしい」との報告があった。

 報告を受け、サロマ湖養殖漁業協同組合らが調査した結果、珪藻と植物プランクトン(渦鞭毛藻)の大量発生を確認した。

 16日、佐呂間、湧別、常呂の3漁協は、合同で富武士沖の水素つ調査を行った。  大量へい死が確認された富武士漁港(旧港)は、表面水域の酸素濃度が、魚類が安定的に生息できる1㍑当たり5・0㍉㌘を大きく下回る2・0㍉㌘まで減っていた。

 港内の岸壁にはい上がるヒトデやナマコも確認されている。

 また、富武士漁協の西側約500㍍ほどの床丹漁港は3・3㍉㌘と酸素量は少なかったが、直線で約7㌔西側の芭露漁港は6・0㍉㌘だった。

 関係者らによると、藻類の大量発生は日中、光合成により水中に酸素を放出するが、夜間に大量の酸素を消費し、酸素の極端に少ない水域「貧酸素水塊」を発生させる可能性がある。

 7月下旬からの高温、少雨で湖水温度が異常に上がったことにより、藻類の大量発生を招いた結果「低酸素で死んだ可能性を払しょくできない」という。

 網走水産試験場などの関係機関は、さらに調査、研究を進め、原因解明に取り組んでいくという。

 一方、佐呂間漁協の漁業者は、数万匹に及ぶホッカイシマエビや魚類の回収作業に取り組んでいる。

打ち上げられたエビなどを回収する漁業者

 大量死を放置しておくと、腐敗が進み、強い悪臭を発生させるだけではなく、水質を汚染するほか、ヒグマなどの野生動物を誘引する危険性もあるという。

 17日は朝から付近の漁業者が「このままにはしておけない」と、火ばさみやくま手を持ち寄り、湖岸に打ち上げられた大量の魚類を回収した。

 サロマ湖の夏の味覚として、人気の高いシマエビは5年間、資源保護を目的に禁漁を続けており、漁業者は大量死にショックを受けてる一方、主力のホタテに異常が確認されていないことに胸をなでおろしている。

 だが、漁師一筋数十年のベテランは「こんなことは過去になかった。異常気象による災害なのかもしれないが、続かないことを祈るばかり」と神妙に話していた。

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