過去最長60秒燃焼、超音速実験機エンジンのガス 室工大航空宇宙機センター【室蘭】
JAXAでも研究 技術向上に手応え
室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター(センター長・内海政春教授)は、超音速無人実験機の主推進システムとして研究開発している「エアターボ・ラムジェット(GG-ATR)エンジン」のガスジェネレーター燃焼試験を白老実験場で実施し、過去最長の燃焼時間60秒を成功させた。国内の大学では初めて。
実験の成功に同センターの中田大将准教授は「JAXA(宇宙航空研究開発機構)が本気で取り組んでいることが、大学でもできるのではないか」と抱負を述べた。
GG-ATRは、ガスジェネレーターで燃料(エタノール)と酸化剤(液体酸素)を燃焼させ、発生した高温、高圧の燃焼ガスを用いて、エンジンに推進剤を送り込むタービンを駆動させる。従来のジェットエンジンよりも高い推力重量比を達成でき、JAXAでも研究開発が行われている。
ガスジェネレーター燃焼試験は3月3日に行われ、学生8人と教員3人が参加。電気ノイズ低減のために準備を積み重ね、不着火判定・温度・圧力超過などの自動非常停止判定を担うシステムやデータ収録では、新規機材を投入して二重の冗長系を組んだ。
学生たちは液体酸素タンクの押し圧や流調バルブの開度を正確に計算し、試験は100%から90、80、70%と段階的な推力の調節も行った。60秒の燃焼は、これまで最長だった30秒の2倍の長さとなる。
一連の取り組みは中田准教授によると「かなり高度な技術」。学生たちは2020年度から年数回、JAXA能代ロケット実験場(秋田県)での共同研究に参加しており「日ごろから培ったスキルを大いに発揮した」とたたえている。
今後は、タービンと併せた燃焼試験を実施するため、大幅なレイアウト改造を行う予定。
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