ホクレン根室地区、離農者増で初の臨時市場【中標津】
【中標津】道内に5カ所あるホクレンの家畜市場のうち、取引量が最多のホクレン根室地区市場(町南中)で3日、臨時の競りが行われた。離農した酪農家が例年より多く、手放した牛を通常の一般市場内でさばききれないため。ホクレン中標津支所によると臨時市場の開設は初めて。先を見通せずに離農する人が多い現状が改めて浮き彫りとなった一方、牛の取引価格は高く、今後の酪農情勢が注目される。
通常は年度始めの4月初旬の一般市場で、離農などで手放した牛が上場されるが、今回は離農数が9軒と例年より多いため、さばききれないとみて別日に前倒しした形。乳用と廃用の牛計326頭が全頭落札され、取引高は1億298万円。1頭当たりの平均価格は31万5896円だった。今朝まで牧場で搾乳されていたホルスタインの経産牛は296頭出され、平均単価は32万7339円。特に生産力の高い個体は74万5800円の最高値が付いた。昨年4月第1週の一般市場ではホルスタインの経産牛が82頭が出され、最高73万7000円、平均30万7396円だった。
町養老牛で酪農家3代目の太田隼樹さん(40)は昨年末に離農を決め、年明けから数回に分け牛を手放し、この日は最後の32頭を市場に引き渡した。家の牛舎から出す際「悔しさ、やるせなさ、申し訳なさなどいろいろな感情が渦巻いた」と心中を明かすが、高値で全頭が引き取られ「不幸中の幸い」と話した。
一方で、生産抑制明けの需要の戻りを見越し、購入に駆け付けた近隣の若手酪農家の姿も目立った。30万円台の牛を2頭競り落とした厚岸町の中山卓さん(40)は「5頭は欲しかったが値段が初妊(初めて出産を控えた若い雌牛)より高い。でも牛の値段が高くなっているのは酪農家にとってはいいこと」と話していた。
根室地区の2022年度の一般市場の取り扱いは、速報値で3万9526頭(前年度比1・6%減)、売上高は約54億6143円(同25%減)だった。
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