子の「助けて」受け止めて LGBT専門相談員浦狩さん、室蘭で講演【室蘭】
心と体の性が一致しないトランスジェンダーの子どもを持つ、三重県いなべ市の地域おこし協力隊でLGBT専門相談員の浦狩知子さん(59)が28日、室蘭市市民会館(輪西町)で「多様な性・親の願い トランスジェンダーの子の母親として」と題して講演した。参加者は浦狩さんの話やグループワークを通し、性的少数者が生きやすい社会を実現するには何が必要か理解を深めていた。
室蘭市教育委員会主催。室蘭市男女共生セミナーの取り組みとしては初めて。動画投稿サイト・ユーチューブでもライブ配信。来場者70人、ライブ視聴者70人の計140人が参加した。
講演で浦狩さんは8年前、当時15歳の子どもから「高校は男子として入学したい」と泣きながら打ち明けられた経験を紹介。「子どもにとってカミングアウトは命がけ。親は『助けて』のメッセージだと受け止め、子どもの勇気を褒めてほしい」と訴えた。
昨年9月からパートナーシップ宣誓制度が運用されている三重県では、本人の同意を得ずに性的指向・性自認を暴露する「アウティング」を条例で禁止していると解説。アウティングによって自殺に追い込まれる子どもたちも多いとした上で「子どもから打ち明けられた学校の先生が、本人に確認せず、他の人と情報共有をすることのないように」と、当事者の立場に立った配慮を求めた。
講演後は参加者がグループごとに分かれ、LGBT当事者が抱える生きづらさや対策について話し合った。この中で「正しい知識を学ぶことが重要」「人権問題と認識し、条例を作るべき」との意見が出ていた。
性的マイノリティーを支援する市民団体LGBTネットワークむろらん代表で、トランスジェンダーの当事者でもある佐藤ゆきさん(52)は「関心が高くてうれしい。これがきっかけで理解がさらに進めば」と期待を寄せていた。
市は講演の動画(QRコード)を3月末まで限定配信している。
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