タンチョウから鳥インフル 釧路総合振興局【釧路】
釧路総合振興局は21日、釧路市内で回収されたタンチョウから、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認されたと発表した。タンチョウから鳥インフルエンザが確認された事例は初めてで、現在、高病原性の判定を行っているが、国の特別天然記念物ということもあり、関係者は対応に追われている。(須貝喜治、河辺由記子)
同振興局や釧路市の発表によると、衰弱したタンチョウが20日に音別地区で回収され、猛(もう)禽(きん)類医学研究所で実施した遺伝子検査により、A型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認されたという。今後、環境省が国立環境研究所に依頼し、高病原性かどうかを判定する検査を実施する。検査結果の判明は1週間程度かかる見込み。
今後の対応について、同省釧路自然環境事務所は、回収地点の半径10㌔区域内を野鳥監視重点区域に指定して監視を強化するとともに、今冬シーズンのタンチョウ給餌については「まだ始めていないところは可能な限り遅らせ、始まっている場所については調査を行ってから今後の方針を定める」としている。
今回の発表を受け、市内の阿寒国際ツルセンター「グルス」では、駐車場内に石灰をまいたり、入館時の足底消毒などをこれまで以上に徹底する。河瀬幸館長は「高病原性の陰性であることと、これ以上出ないことを祈るばかり」と話していた。
鶴居村の鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリは17日から給餌を開始。近隣の鶴見台も16日から始めたが、飛来は数羽にとどまっている。原田修チーフレンジャーは、今年は鹿児島県出水市の飛来地でナベヅルの感染が多数確認されている事例を挙げ、「まだ飛来数が少なく給餌は様子見だが、予断を許さない状況。給餌をすべて取り止めると近隣の農場へ集まる懸念があり難しい」と話す。同施設と村教育委員会は周辺パトロールを強化するなど、動向を注視するとしている。
高病原性の鳥インフルエンザウイルスは、昨シーズン釧路管内でエミュー農場が被害を受けたほか、養鶏場では52万羽の殺処分も実施。釧路、根室管内のほか道内各地で、ハシブトガラスの死骸から検出されたほか、オジロワシなどの希少種やほ乳類のタヌキやキツネからもウイルスが検出されるなど猛威を振るった。
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