10月スルメイカ過去最低92トン 単価は1000円超 【函館】
函館市農林水産部がまとめた市水産物地方卸売市場での10月の生鮮スルメイカ取扱量は、前年比32・4%(44トン)減の92トンとなった。統計の残る2005年以降で最低だった20年(103トン)を下回り、過去最低を更新。薄漁に加え、全国旅行支援が始まり、人の動きが活発化したことに伴う飲食店や小売店での引き合いが強まり、1キロあたりの平均単価は同58・3%(400円)高い1085円と初めて1000円を超えた。
同部によると、10月の取扱量は18年以降、3年連続で過去最低を更新していたが、21年に前年を上回る136トンとなった。しかし、22年は92トン(上旬20トン、中旬30トン、下旬42トン)と落ち込み、初めて100トンを下回った。取扱金額は同6・5%(614万円)増の9931万円。出漁日数は昨年より1日多い23日だった。 6~10月の累計は取扱量444トンで過去3番目に少なく、単価は963円で最も高かった。
同部は「イカが捕れない上、政府の観光需要喚起策が10月11日に始まり、飲食店や小売店での需要が高まった。単価上昇の追い風が吹いており、あとは水揚げ増を期待したい」とする。
道総研函館水試の試験調査船「金星丸」(151トン、イカ釣り機5台、集魚灯20灯)で今月1~4日に津軽海峡~道南太平洋で実施した漁獲調査では、イカ釣り機1台1時間当たりの漁獲数は2・28匹で、昨年の0・87匹、過去5年平均(17~21年)の0・44匹を上回り、最も高かった。漁獲したイカの胴長の範囲は12~28センチ(昨年15~27センチ)で、最も多く捕れた魚体サイズは23センチと昨年(20センチ)と過去5年平均(19センチ)より大きかった。水試は「例年に比べ、南下途中の群れが比較的多く来遊していた可能性がある」とする。
三原栄次主任主査は、10月の漁獲不振について「秋以降に漁獲の主体となる冬生まれ群の資源量が少ないことが原因と考えられる」と指摘。道南太平洋での漁獲見通しは「11月以降も一時的に漁獲が増加することがあるかもしれないが、総じて低い水準で推移する」としている。
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