サケの豊漁祈る 苫アイヌ協会 秋恒例「カムイチェプノミ」
苫小牧アイヌ協会(作田悟会長)は18日、苫小牧市矢代町の市生活館で新たに遡上(そじょう)するサケを迎える儀式「カムイチェプノミ」を行った。約40人が出席し、豊漁や漁の安全などを願い、さまざまなカムイ(神)に祈りをささげた。
アイヌ文化の伝承などを目的に続けている秋恒例の儀式。例年は錦多峰川近くで行われているが、今年は同館にサケや果物などの供物を用意し民族衣装に身を包んだ上、伝統的な手順にのっとって進められた。
祭司を務めた作田会長はアイヌ語を交え、アペフチカムイ(火の神)にあいさつ。器の酒を「イクパスイ」と呼ばれる木製の神具でイナウ(御幣)などに振り掛け、小刀で切り取ったサケの身の一部をいろりに移し、祝詞をあげた。
「ワッカウシカムイ(水の神)」「トマリコロカムイ(港の神)」といった七神にも祈りをささげ、先祖供養の「イチャルパ」も粛々と行った。
儀式の後はむかわ町と苫小牧市でそれぞれ活動するアイヌ文化団体が輪踊りなど伝統舞踊を披露し、交流を深めた。新型コロナウイルス感染拡大防止へ、恒例のアイヌ料理による会食は見送った。
作田会長は「先人たちへの感謝の気持ちを込めつつ世の中が安定し、各自が幸せになることを願った」と述べた。
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