「コロナで厳しい中３年ぶりに開催でき、本当にありがたい」と話す吉田さん

　全国の和菓子職人が菓子作りの技を競う「第１１回全国菓子研究団体連合会総会技術コンテスト」（４日・横浜市内）で、吉田食品（函館市西桔梗町）社長の吉田貴之さん（５０）が工芸菓子部門に「永久の杜」を出品し金賞を受賞した。新型コロナウイルスの影響で３年ぶりの開催となり「受賞もうれしいが、無事開催できたことが本当にありがたい」と話している。

　吉田さんは２０１３年から同コンテストに参加し、これまでは２位相当の受賞が最高成績。審査は審査員と出場者が行い、色彩のバランスや技術に加え、創造性や独創性が評価される。

　今年のテーマは「希望と平和の願いを和菓子に込めて」。吉田さんは「平和な日常こそありがたいもの」と考え、森の中でつがいのカワセミが仲むつまじく触れ合う様子を表現した。また、コロナ禍など困難から脱し、再び平和が訪れるよう願いを込め、希望に向かって飛び立とうとするキアゲハも制作した。

　５月末にテーマが発表され、約２０日間かけて図面を書き、作品のイメージをふくらませ、６月中旬から制作を開始。シダやドクダミといった植物類はより細部にこだわって作ろうと、実際に森に行って観察。菓子はパーツごとに作り、組み合わせた。「パーツそれぞれの向きや重なり合いを考えながら作り上げる点は生け花と似ている。繊細なものを表現するのはずっと挑戦したかったのでいい機会になった」と吉田さん。

　工芸部門には７人が出場し、初の金賞受賞。「コロナ前は３０人近く出場していたので来年以降はもっと盛り上がるコンテストになれば。まずはコロナで厳しい中開催してくれた関係者に感謝したい」と笑顔で話した。

　吉田さんの作品制作の様子をまとめた動画は同社のユーチューブチャンネル「和創菓ひとひら」で視聴できる。