「春採湖しまえなが物語」刊行 釧路の自然写真家、山本さん【釧路】
「野鳥のシマエナガを通して身近な自然と命の大切さを子供たちに伝えたい」と、シマエナガの伝道師として活動している自然写真家の山本光一さんが絵本「春採湖しまえなが物語」を刊行した。制作に当たっては、精密な色鉛筆を道教大附属釧路義務教育学校前期課程で図画工作科専任教諭を務める登(と)藤(どう)珠(たま)実(み)さんが担当。文と写真と監修を山本さんが受け持ち、500冊の制作費は個人、団体、企業などからの寄付を充て、完成した絵本は釧路市内全小学校の全学年全学級に届けられた。 絵本は、シマエナガが生息する春採湖の四季を描きながら、その自然の中に生きる命について絵と文で紹介している。 山本さんは「登藤さんの絵は精密画のように描かれているが、色鉛筆を使っているので子供たちにとって身近に感じてもらえるのではないか。絵を通じて命の素晴らしさを知ってほしい」と語る。ただし、その自然の世界はやさしく美しいだけではない。 「あの小さなシマエナガが大きなアカゲラに立ち向かっていく姿も出てくる。それはどうしてなのか、絵本を見ながらその理由を知ってほしい。大人と一緒になってシマエナガのことを話し合ってほしい。その中から命の大切さを分かってもらえるのでは」と言葉をつなげる山本さん。前田一歩園財団自然普及課長として、日頃から子供たちに自然の姿をガイドしている経験と実績が、シマエナガの生態を子供たちに知ってほしいと絵本に込めた思いと重なっていく。今回出版された500冊は分厚い表紙の上製本で、市内全小学校の全学級と図書室、道東圏の図書館や自然観光施設などに無償配布し、広く閲覧してもらう。さらに、並製本の絵本「春採湖しまえなが物語」を釧路市立博物館と春採湖ネイチャーセンターなどで頒布(1300円)している。
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