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釧路新聞

本行寺本堂を国の有形文化財に 専門家現地調査で太鼓判【釧路】

本行寺本堂の価値を語る川島教授

本堂裏の石壁について菅原住職(右)に説明する川島教授

 浄土真宗本願寺派(西)の本行寺(菅原顯史住職、釧路市弥生2の11)の本堂建物を、国登録有形文化財に登録しようという動きが活発化してきた。「2025年に100年を迎えるまでには…」と願っていた菅原住職の思いが遠く京都まで届き、京都華頂大学の川島智生教授が14日から3日間にわたって現地調査を実施。「建物の歴史的価値は十分にある」と太鼓判を押し、「あとは地元の皆さんがこの価値を知り、登録に向けて応援してくれるだけ」と語った。

 本行寺の本堂を建てたのは新潟県間瀬の宮大工、田中藤蔵と田中丑蔵の両棟梁を頭にした職人たち。1925年に棟上げをして翌年に落成している。間瀬の宮大工は釧路だけでなく、函館に今も残る歴史的な建造物を手掛け、道庁赤れんがの建物もまた名工たちの手によるものだ。

 この間瀬の宮大工の技を受け継いだ故五十嵐一雄さんが、1945年に同市富士見2に建てた自宅兼事務所の旧五十嵐家の建物は、和洋折衷の後世に残すべき建物として、2020年に国の有形文化財に登録されている。

 本行寺の菅原住職は「もうすぐ100年の歴史を重ねる本堂の建物の価値を皆さんに知ってほしい」と、これまで思案を重ねてきたという。そこに思わぬ朗報が舞い込んできた。国の文化審議会が文部科学大臣に答申して正式決定される、国の有形文化財登録で数々の実績を持つ、川島教授からの現地視察の要請だった。京都の明治期煉瓦(れんが)造りの工場建築史にも取り組んでいる川島教授が本行寺の歴史的な価値の高さを知り、自ら調査を申し出たもの。

 菅原住職は「まったく予期せぬことだったので驚いたが、とてもうれしく、感謝したい」と調査に全面協力。本堂の中はもちろん、その構造を確かめるために屋根裏から床下、さらに現在は使用していない旧納骨堂まで、3日間にわたって丁寧な調査が続いた。

 川島教授は「このような和風と洋風が相まった建物はとても珍しい。現存する寺院では全国で10件の一つだろう。デザイン性、耐火のための工夫、どれをとっても登録文化財の価値は十分にある」と指摘。新潟県の長岡、三条、直江津に現存する建物と比較しながら、菅原住職ら関係者に詳しく説明した。

 さらに川島教授が「他に類例がなく、価値が高い」と指摘するのが、本堂裏の外壁に使用されている札幌軟石の存在。明治時代から昭和初期に札幌や小樽周辺の建物に使われた石材で「石造りの寺院の壁は他にない」とその貴重性を強調。「洋風な教会の建物にも似ている」と高く評価している。

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