僧侶が散華して読経し、箱館戦争旧幕府軍の戦没者を慰霊した碑前祭

　函館碧血会（北原善通会長）は２５日、戊辰戦争、箱館戦争（１８６８～６９年）の旧幕府軍の戦没者を慰霊する碧血碑碑前祭を函館山ふもとの同碑前で執り行った。新型コロナウイルスの影響で取りやめていた一般市民の参列を３年ぶりに再開し、約８０人が参列。箱館戦争から１５０余年という歳月に思いをはせ、碑に手を合わせた。

　箱館戦争の激戦が事実上終結した６９（明治２）年５月１６日が新暦で６月２５日にあたる。碑は７５（同８）年に榎本武揚、大鳥圭介らの尽力で建てられた。

　この日は、はこだて元町認定こども園の園児が碑前に千羽鶴を供え、碧血会の木村裕俊事務局長は新著「箱館戦争　新・戦没者名簿」を奉納した。実行寺（船見町）の望月正寿副住職ら僧侶が読経し、碑の周囲を回って散華する中、参列者は焼香し、静かに合掌した。

　また、浪曲師の東家一太郎さんと曲師（三味線）の東家美（みつ）さんは、碧血碑建立のいきさつを描いた「五稜郭始末記」の「義侠熊吉」を奉納。戦死者を弔う人がいない中「仏には敵、味方も、官軍も賊軍もない。しっかり弔うのが人の道」と市街地の遺体を回収した柳川熊吉が奔走する様子を巧みに演じた。

　榎本のひ孫にあたる榎本隆充さん（８７）は、玄孫の隆一郎さん（６０）とともに３年ぶりに東京から碑前祭へ。隆充さんは「久しぶりにみんなでお参りができて良かった。これからも途絶えることなく、次の世代につないでいかなくてはならない」と話していた。

　碑前祭後の総会で役員改選があり、北原会長に代わり、新会長に北海道東照宮宮司の大谷仁秀さん、木村事務局長の後任に、前函館市中央図書館長の丹羽秀人さんが就いた。