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函館新聞

旧幕府軍戦没者の新名簿 木村裕俊さんが新著出版【函館】

先人の史料を基に「新・戦没者名簿」をまとめた木村さん

 函館碧血会事務局長で郷土史家の木村裕俊さん(74)が新著「箱館戦争 新・戦没者名簿」を出版した。榎本武揚(1836~1908年)、函館の郷土史家、神山茂(1893~65年)がそれぞれまとめた箱館戦争(1868~69年)における旧幕府軍の戦没者名簿をデータベース化。重複する情報などを精査した結果、戦没者数は2つの名簿よりも増えて、計667人分になることが判明した。

 榎本が1907(明治40)年にまとめた「明治辰巳之役東軍戦没者過去帖」(榎本過去帳)は、土方歳三を筆頭に位階順に538人の名前と戦没地が並ぶ。神山は59(昭和34)年に「箱館戦争(戊辰己巳役)幕軍陣歿者氏名考」(神山名簿)を発表。榎本過去帳を底本に、五十音順に計659人分の氏名、戦死日、所属部隊名などの情報を加えた。

 木村さんは2年ほど前からデータベース化に着手。それぞれに同一人物と思われる名前や、片方のみに掲載がある情報など、不確かな内容は別の史料などを参考にしながら再検討を加えた。完成した「新名簿」では戦没者数が神山名簿よりも多い667人となった。

 戦没地は両名簿で違いが散見された。神山名簿にはさらに埋葬先が記された人がいるが、函館近郊の寺院で弔われた事例は全体の3割未満と少ないという。木村さんは「戒名を持つ人は実行寺が多く、称名寺の埋葬者は宮古湾海戦の戦死者が多い」とする。

 また、旧幕府軍は概数で蝦夷地上陸時に3100人、後に400人が加わったとされる。戦死者や降伏者数などを差し引くと約940人の〝戦後〟が不明になる。木村さんは「脱走した人や死んだことが記録にも残らず、その場所に置いていかれた人もたくさんいたのだろう」と推察する。 新著には、榎本過去帳、神山名簿に習い、士分、兵卒別に位階順と五十音順の名簿を収録。木村さんが検討を加えた情報は表を色付けして分かりやすいようにした。併せて箱館戦争の概略、新名簿の作業過程や読み解いた考察を掲載した。

 木村さんは最晩年に過去帳を書き残した榎本、多角的に情報を加えて名簿を残した神山の研究に改めて敬意を示し、「25日の碧血碑碑前祭で碧血碑に納めたい」としている。

 A5判、216ページ。2420円(税込み)。150部発行し、函館蔦屋書店で販売予定。問い合わせは木村さん(0138・55・0384)へ。

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