巨大ススキの活用に期待 実証プロジェクト開始 自社農園に植栽 バイオマス燃料や飼料に 敷島ファームと室工大 白老
国内最大規模の黒毛和種和牛畜産企業「敷島ファーム」(本社栃木県那須町、高田正樹社長)は11日、白老町竹浦の自社農園で巨大ススキの利活用実証プロジェクトを開始した。社員と室蘭工業大学の教授ら計30人で1ヘクタールの農園に苗を5000本植栽した。草丈は3メートルほどまで育ち、早ければ2年ほどで収穫できる。バイオマス燃料のほか、牛の飼料や畜舎の床に敷く資材に活用できるという。
家畜を保護したりふん尿を吸収したりし、飼育環境を良い状態に保つ敷料は、飼料とともに重要な養牛の資材だが、代表的なオガクズなどが近年、コロナ禍や海外での紛争の影響で品薄になり、輸送コストも増えている。このため価格が高騰し、畜産業全体の大きな負担になっている。
同社が育成を試みる巨大ススキは、大気中の二酸化炭素を吸収して育つ「ジャイアントミスカンサス」。オギとススキの自然雑種で、和名をオギススキという日本由来のイネ科多年生植物。1935年にデンマークの植物コレクターによって日本で収集され、観賞用植物として持ち出されたが、近年はヨーロッパでバイオマス燃料やカーボンニュートラル燃料として評価されている。耕作放棄地や傾斜地など条件が厳しい土地でも、植栽すれば約20年にわたり繁茂する強さがあるという。繁茂中は空気中の二酸化炭素を吸収し、土壌に貯留し続ける高いGHG(地球温暖化ガス)削減能力を持つ。
SDGs(持続可能な開発目標)の目標達成に必要な「持続可能な農業」を2011年ごろから推進する同社は、家畜の敷料や飼料となる以外に、環境にも優しいジャイアントミスカンサスは魅力度が高いという。
実証プロジェクトの開始日は雨天となったが、高田社長は「恵みの雨という幸先の良い第一歩。うまくいけば耕作放棄地や荒廃地への植栽も進め、二酸化炭素削減と資材確保、土地資産利活用と地域活性につなげたい」と未来を見据えて語った。
プロジェクトには室蘭工業大学の吉成哲教授らも協力し、二酸化炭素吸収効果の検証やバイオマス、飼料・敷料化などについて中長期的な共同研究を進めていく。また、遊休地などの利活用につながるとして、砂利採取販売のケイホク(本社苫小牧市)も砂利採取後の土地を植栽地として提供し、利活用の検証に協力するとしている。
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