苫小牧市非核平和都市条例施行20年 多彩な記念事業
苫小牧市は市非核平和都市条例施行から20年の節目となる今年度、恒久平和の実現を願う多くの記念事業を計画している。広島市との共催で広島平和記念資料館の原爆資料展を開催するほか、被爆者を迎えた講演会や映画の上映会も企画。市民文化ホール(仮称)への設置を構想する「平和の鐘」の具体的な検討にも入る予定だ。
原爆資料展は7月末から約3週間、市文化交流センターで開催する。原爆被害を伝えるパネルと合わせ、同資料館から借り受けた資料も展示。原爆の熱線と爆風で黒焦げになった生活用品や服装品などの実物やレプリカの展示を予定している。
8月13日には、広島市から被爆者を招いた体験証言会を同センターで実施する。経験者の話を通して原爆の恐ろしさや愚かさ、平和の尊さを市民に考えてもらう。
映画の上映会は7月31日。広島と長崎の二重被爆者に焦点を当てたドキュメンタリー映画を市民会館で上映する。苫小牧出身の映画監督稲塚秀孝さんが手掛けた作品で、二重被爆者を知る近親者の講演会も合わせて行う。
市民が平和を祈るシンボルとして、平和の鐘を設置する準備もスタートさせる。署名運動や資金集めを続けてきた市民団体の働き掛けに応え、検討委員会設置の補正予算案を6月定例市議会に提出する。承認され次第、デザインや規模などの具体的な検討に入る。
ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆するなど、核戦争の危機が高まる中、市は改めて非核平和への誓いを促したい考え。政策推進課は「例年以上にさまざまな事業を展開するので、条例に関心を持ち、非核平和に思いを寄せてほしい」と話している。
苫小牧市非核平和都市条例は、まちを挙げて核兵器廃絶と平和の推進に取り組む決意を込め、2002年4月に施行。市民団体の署名運動や要望活動を通し、道内で初めて制定された。全7条から成り、非核三原則の普及や他都市との平和交流、核実験への反対意見の表明など平和行政に関する基本事項を定めている。
条例に基づき毎年実施してきた中学生の広島派遣は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年間中止したが、今年は8月に予定している。平和祈念式典も例年通り8月15日に行う。
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