同性カップルを公的に承認する、函館市の「パートナーシップ宣誓制度」が４月に導入されて１カ月が経過した。同月７日には第１号となる女性カップルが利用し、同１３日にも２組目が宣誓したという。市は「制度整備が最終形ではなく、今後も性の多様性について理解が深まるよう取り組み、生きづらさの解消につなげたい」としている。

　市は制度導入に向けて有識者らに意見を聞く検討委員会を立ち上げるなどし、市民や当事者らの意見も踏まえて宣誓方式での同制度の導入を４月から開始した。宣誓対象は、一方または双方が市内居住、転入予定の成年カップルで受領証などが交付される。

　第１号カップルの宣誓では、工藤寿樹市長が立ち会う中でセレモニーを実施。新たな門出を迎えた２人を祝った。２人は日常で掛けられる何気ない一言に生きづらさを感じることもあったと振り返り、「私たちが宣誓することで、同じような境遇の人たちの選択肢の一つとして選ぶ人が増えることを期待している」と語った。

　工藤市長は２７日の定例会見で２組目のカップルが宣誓したことにも触れ、「（性の多様性への）理解促進に力を入れていきたい」と継続的に支援することを明言した。市は昨年度からＬＧＢＴ（性的少数者）の従業員や顧客がいた場合の対応に生かしてもらおうと、企業向けのアドバイザー派遣事業を始めた。

　同制度に法的拘束力はないが、市は市営住宅の入居や市立病院での手術同意など、夫婦や家族と同様の待遇を受けられるよう検討。民間サービスへの波及効果も期待されている。