俳人協会道支部俳句大会 名取さんに道知事賞
苫小牧市三光町に住む名取光恵さん(75)は俳人協会北海道支部第14回俳句大会で1位となり、北海道知事賞を受賞した。同協会本部の選者から特選を受けるなど、選者13人から高く評価された。
昨年10~12月に応募があった638句の中から、知事賞に選ばれた名取さんの句は「樹の齢(よわい) 磐(いわ)の齢や 滴れり」。2019年6月に美々川の源流を訪れたときに見た風景を詠んだ。湧き水がカツラの巨木の根を洗う様子や川に流れる水の美しさを表現した。
昨年夏の完成までに約2年間を費やした。「あの時の感動はまだ残っている。まだ詠み切れていないという思いもある」と話す。
作品集に掲載された選評で、本部選者の櫂未知子さんは「『磐の齢』に思いをはせた句はめったにない。この季語を存分に生かした作者に敬意を表したい」と絶賛していた。名取さんは「季語に精通している先生からの身に余る評価で、感激している」と思いの丈を語った。
俳句を始めたのは30年以上前。重い持病を患い、外出も思うようにできない中、自宅でもできる俳句を知人に勧められたのがきっかけだった。五七五の17字に情景を入れ込む俳句の魅力を「句を読めば、その人が何を考えているのか、その本音が分かる。ささいな日常を詠むことで本当の自分に出会える」と名取さんは語る。
「仲間の助けがあって、これまで続けることができた」と喜び、「これからも日常を見詰めながら、句を詠んでいきたい」と意欲を新たにしていた。
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