浦河町では、子どもたち１人１台のタブレット端末を活用し、学校・家庭を繋いだ「オンライン授業」を実施している。21日には、悪天候の影響で町内でも浦河小学校と堺町小学校が臨時休校となったが、オンラインによる授業を行うなどの対応で、休校中やコロナ禍においても子どもたちの学びを止めない取り組みを進めている。

　国は、２０１９年（令和元年）から、子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ＩＣＴ環境の実現を目指し、全国の児童生徒１人１台のコンピューター端末と高速通信ネットワークを一体的に整備する“ＧＩＧＡスクール構想”を推進している。

　浦河町では、16年に総合戦略の学力向上対策事業の一環として、町内全小・中学校７校の児童生徒を対象に１人１台のコンピューター端末を各学校に配布する“タブレット導入事業”を国に先駆けて取り組んでいた。

　本年度、国のＧＩＧＡスクール構想に合わせて、活用の幅を一層広げようとタブレット端末をｉＰａｄに更新。より有効活用できる施策やソフトウェアも整備し、学校での活用にとどまることなく、家庭での積極的な活用に向けた取り組みに着手した。

　町内の各学校では、教科ごとのＩＣＴを活用した授業実践とともに、家庭と学校を接続しての家庭学習や課題の提出などにタブレット端末を日常的に活用している。

　新型コロナウイルスの感染拡大により、一部の小中学校では学年・学級閉鎖などが余儀なくされているが、過年度から端末の家庭への持ち帰りに取り組んでいたこともあり、オンラインによる家庭と学校との学習のやりとりがスムーズに行われている。

　悪天候により臨時休校となった21日、堺町小学校では、オンラインでの授業を実施。子どもたちは、学校から配信された時間割に合わせて各家庭からそれぞれのクラスで行われる授業に参加。黒板の前で授業を行う先生の画像を見ながら、板書をノートに書き写したり、先生からの問い掛けに答えるなど、タブレットを介して教室にいる時と同様に授業が進められていた。

　保護者からは「親はなかなか仕事を休めないが、子どもたちが自宅で授業を受けられると安心できる」「今は、兄弟が風邪をひいても学校を休まなくてはならない。オンライン授業のおかげで、休んでいても教室とのつながりを持つことができ、家にいながらも学校の活動に参加できている」といった声があがっている。

　町教委では、校内無線ＬＡＮの充実や自宅にネット環境が整っていない家庭へのルーターの貸し出しなどハード面の整備をはじめ、教職員のＩＣＴ活用のスキルアップを目指した研修や教材研究などソフト面の充実にも力を注いできた。

　浅野浩嗣教育長は「子どもたちが毎日端末を持ち帰り、家庭での学習に役立ててもらおうと端末を更新し、整備を進めた。学校の授業中だけではなく、家庭での活用に取り組んできたことが、コロナだけではなく、いざという時の迅速な対応につながっている」と言及。また、「町内の各学校には校務支援ソフトも導入した。校務を変えていくことで、学校の働き方改革につながれば」とＩＣＴの利便性を生かした取り組みの促進に期待を寄せていた。

自宅でオンライン授業を受ける児童