テークアウト販売している「くじら汁」と鹿角理亞のコラボグッズをＰＲする赤塚一郎さん（左）と泉さん

　１８８２（明治１５）年創業の酒問屋「旧菊泉本店」の別邸として１９２１（大正１０）年に建てられた函館市元町の木造平屋建て住宅が、今月で建築から１００年を迎えた。２０１７年には人気アニメ「ラブライブ！サンシャイン」のロケ地として脚光を浴び、現在はアニメとコラボした企画を展開して節目を祝っている。

　同別邸は１９９０年、市の伝統的建造物に指定され、同時に建物をリノベーションした。当時の酒問屋の面影を再現するため旧菊泉本店の立体看板を復元したほか、内装には明治～大正時代の趣を感じさせる囲炉裏を設置。建物内の２部屋は洋室に改装された。

　９９年には資料館兼お休み処としてスタートし、２００５年からは甘味処「茶房　菊泉」（赤塚泉店主）が営業している。

　同店は１７年、高校生がローカルアイドルグループとして成長する姿を描いたメディアミックス作品として人気を誇るアニメ「ラブライブ！サンシャイン」のロケ地となり、ファン“ラブライバー”の聖地として注目を浴びた。作中では主人公グループ「Ａｑｏｕｒｓ（アクア）の９人が、ライバルで函館の姉妹ユニット「Ｓａｉｎｔ　Ｓｎｏｗ（セイントスノー）」の２人とともに、五稜郭タワーや旧函館区公会堂、八幡坂など市内１２カ所を回り、同店にも訪れた。アクアのメンバーが「とうふ白玉ぜんざい」を食べたことで、道内外からラブライバーが殺到。アニメの舞台を訪れる「聖地巡礼」でにぎわった。

　築後１００年を迎え、同店の看板メニューでラブライバーの二大メニューでもある「くじら汁」のテークアウト販売を実施中。みそ、塩、しょうゆの３種類から好きな味を自宅で堪能できる（税込み７００円）。また、セイントスノーのメンバー、鹿角理亞（かづの・りあ）の誕生日（１２月１２日）を記念し、ラブライブの制作会社が開発した特別グッズ（同２７５０円）も販売している。

　別邸所有者の花井俊之さん（６２）は「建物はほぼ当時のまま、大正時代にスリップしたかのような空間でおいしい食事とくつろぎのひとときを過ごせます。大正ロマン漂うお部屋の中でぜひお楽しみください」と話している。

　木曜定休。午前１０時～午後５時（２９日は同４時まで）。年末年始は３０、３１日が休み。問い合わせは同店（０１３８・２２・０３０６）へ。