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函館新聞

赤く焼ける空思い出す 函館大火から90年 97歳吉田さん【函館】

大火の思い出を振り返る吉田さん

 1934(昭和9)年の函館大火から21日で90年。函館市住吉町から出た火は市街の3分の1を焼き尽くし、焼失建物は1万1105棟、2166人が死亡する未曽有の惨事だった。27(昭和2)年1月生まれの吉田チヨさん(97)=函館市弥生町=は当時7歳。山背泊町(現入舟町)の自宅から見た赤く焼ける夜空など、脳裏に浮かぶ当時を語りだした。

 大火当日の様子について吉田さんは「とにかくすごい風だった」と振り返る。停電で真っ暗な中、十字街から先の空が真っ赤になっていて、燃えるありさまがよく見えた。最初は東南だった風向きは西寄りに変わり、火は新川町方面に燃え広がる。父の伏見金蔵さんは、千代ケ岱町(現千代台町)の郵便官舎に住む親戚家族を助けようと、叔父とともに燃える街に向かった。

 吉田さんの自宅は大火で被災していないものの、5人の姉弟が母親と祖母に見守られながら心細い一夜を過ごした。翌朝、目が覚めると、父親が連れてきた親戚の子どもが一緒に眠っていた。親類の3家族10人は家を失ったため、一緒に暮らすことになった。

 父親に聞いたところ、新川橋は崩れ落ち、逃げ場を失って死んだ人を砂山に並べてむしろをかぶせ痛ましい様子だったという。「死体を見にいこう」と言いだした子がいて「おばあちゃんに大目玉を食らった」ことから、吉田さんはしばらく焼け跡に近づかなかった。

 記憶にあるのは、復興が進んだ大門や十字街、新川町方面の街並みだ。通っていた常盤小(70年廃校)には、焼け出されて親族の家に身を寄せた子も多く、学校には全国から寄せられた救援の物資が届いていた。

 翌35(昭和10)年夏、大火で消沈した市民を元気づけようと、坂本森一市長(当時)の発案で「函館港まつり」が始まった。7月1日から3日間、「港おどり」の行列が市内をにぎやかに練り歩いた。弁天町でも、きらびやかな花電車に芸者が花を添え、吉田さんは「電車通りのにぎわいは忘れられない」と話す。

 函館大火のあと、間もなく別の火事で実家が焼けたことから「火災の恐ろしさは身に染みています」と話す。大火当時を知る市民は今や数少ないが、「復興の先頭に立った市長さん、昔の人は偉かった」と、災害に負けない函館人の心意気を振り返った。

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