ホタテ特別メニューを味わう東農大世田谷キャンパスの学生（同大提供）

　【東京】東農大オホーツクキャンパスの学食でたびたび提供している網走産ホタテを使った特別メニューを、同大世田谷キャンパスに通う学生にも味わってもらおうと、網走漁協（新谷哲也代表理事組合長）が網走産のホタテを無償提供。このほど、同キャンパス学食「すずしろ」で、２種類の特別メニューで提供された。

　福島第一原発のＡＬＰＳ処理水放出に伴い、中国が日本産の水産物輸入を停止したことで、網走の主要水産物のひとつ、ホタテ流通への影響が懸念されている。

　また、オホーツクキャンパスの学生は同漁協の主要事業、ホタテ稚貝放流のアルバイトとして主戦力を担っているなど、農大とホタテは深い関わりがあることから、ホタテ流通の促進と、市の水産業に貢献していることへの感謝を込めて提供したもの。

　学食で提供されたのは、ホタテ貝柱がごろっと入った「アバシリ・アブリホタテ・ガストロノミー丼」、ネギ油としょうゆ油が麺によくからむ「同まぜそば」の２種類。どちらも２月28日から３月１日と、同５日の４回にわたってメニューに取り入れられた。

　本場網走のホタテ貝柱がふんだんに使われたメニュー、しかも並盛り５００円、ミニ盛り４００円という価格に、学生たちは大喜び。それぞれ１日１００食の限定ということもあり、あっと言う間に完売する人気ぶりだった。

　２月29日には、新谷組合長も同学食を訪れ、学生が網走の水産業に協力してもらっていることへの感謝と、ホタテの消費拡大に協力を呼びかけた。

　また、今回の特別メニュー提供に併せ、同大生物産業学部海洋水産学科の千葉晋教授が講義動画「ホタテ学」を動画投稿サイト「ＹｏｕＴｕｂｅ」で公開した。

　千葉教授は料理とその背景にある歴史や文化、食材や調理加工など、食を包括的に分析、考察する学問体系「ガストロノミー」の観点から食の教育、研究を推進している。

　今回の動画は、学生がホタテを学び、知ることで食材を深く味わい、その味とともに課題などを考え、将来的なアクションを起こすきっかけになるよう、公開したもの。動画は同大のＹｏｕＴｕｂｅチャンネルで誰でも視聴できる。

　同大は、世田谷キャンパスの学生がホタテを多角的に知り、味わうことで網走の課題を農大の課題として昇華できればと話している。