甲子園初出場を決め、喜びを爆発させる別海ナイン

　【別海】日本高等学校野球連盟は２６日、３月１８日に兵庫県の阪神甲子園球場で開幕する「第９６回選抜高校野球大会」に出場する３２校（一般選考３０校、２１世紀枠２校）を発表した。このうち、２１世紀枠で北海道地区候補校となっていた別海高校が見事選出され、初夏通じて初の甲子園出場を決めた。釧路、根室管内からの選抜出場は、１９６９年の釧路第一（７８年閉校）以来、５５年ぶり２度目で、根室管内からは初選出の快挙となった。

　２１世紀枠は２００１年に導入。少数部員や厳しい練習環境など、困難な状況を克服して好成績を残すとともに、地域貢献にも取り組む高校野球の模範的な姿を実践する学校が対象となる。

　別海高校は、選抜の参考資料となる昨年１０月の全道大会で、出場チーム中最少の１６人ながら４強に名を連ねた。さらに、最低気温が０度未満の日が年平均で半年以上ある中、農業用ビニールハウスを活用して練習を重ねたことや、少年野球大会の運営補助といった日頃からの積極的な地域貢献が評価され、道高野連からの推薦を得ていた。

　この日は体育館に部員や生徒、保護者らが集まり、出場校の発表が行われる大会公式サイトのライブ配信を固唾をのんで見守った。午後３時３０分ごろ、２１世枠から発表され、一番始めに「別海高校」と名前が呼ばれると、会場は黄色い歓声に包まれた。

　釧根管内からの２１世紀枠候補はこれまで、武修館と釧路江南が２回ずつ、釧路湖陵が１回選ばれているが、吉報が届くことはなく〝６度目の正直､､となった。釧根からの甲子園出場は２０１４年夏の武修館以来で、根室管内に限定すると１９９０年夏の中標津以来。選抜では、６９年の釧路第一（７８年閉校）以来２度目で、根室管内からは初めて。

　中道航太郎主将（２年）は「候補校になった以上、選ばれると思って練習を重ねてきたが、本当に選ばれるとは。自分たちの目標としていた甲子園出場を決めることができて、うれしい気持ちでいっぱい」と満面の笑みで語る。「甲子園では別海町をアピールして恩返しをすることはもちろん、別海町民の皆さんを勇気づけられるプレーができれば」と意気込みも語った。

　就任９年目を迎えた島影隆啓監督（４１）。発表は妻と子供の３人と車で見ていたという。「いつも迷惑をかけている家族と一緒に見ようと決めていて、呼ばれたときは泣いてしまった」と振り返る。「こんな小さな町の小さな学校の小さな子供たちが、でっかい夢をかなえてくれた。子供たち、そして夢かなわず引退した先輩方全員を褒めたい。きょうだけは思いっきり喜んで、あしたから気持ちを切り替える」と笑顔を見せた。

　さらに「私たちが選んでいただけたというのは、試合中の全力疾走や全力プレーなどが認められたということ。出場できなかった学校やいろんな方々の思いを背負って、甲子園でも『これぞ高校野球』という、いつも通りのプレーをする」と誓う。目標としては「やるからには優勝を目指すのが普通。無理だろうと思っているかもしれないが、無理だろうといわれていた甲子園を現実にした。ハウスや室内練習場を使って、守りの基礎を徹底的に鍛えていく」と闘志を燃やしている。