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函館新聞

道路損傷「過酷な現場」 能登地震で遺体搬送支援 川道さんが帰函【函館】

現地の写真や持ち込んだパンク修理剤を前に活動を語る川道さん

 能登半島地震で被災した石川県で、亀田葬儀社(函館市桔梗3)の川道一司社長(58)が、全国霊柩自動車協会(東京)災害時対策委員会の緊急輸送一次隊の一員として、遺体搬送業務に従事した。道路の損傷や渋滞、いまだ続く断水、新型コロナウイルス流行など過酷な状況下で活動して帰函。「大変な現場だった」と振り返った。

 石川県から協力要請を受けた協会より、9日に出動依頼があり、10日夜に自社の甚大災害用2遺体搬送車両に一人で乗り込みフェリーで出発。11日未明に青森県から、災害対策本部のある石川県金沢市へ高速道路で向かい、12~13日に活動。14日に同県を発った。

 現地には、全国各地から一次隊として約35人、霊柩車15両が集まった。道内からは川道さんが唯一。地震による損壊で被災地の火葬場が使えず、輪島市や穴水町の安置所から、火葬が可能な金沢市の安置所へ遺体を搬送する役割を担った。

 川道さんは、函館霊柩自動車協会会長、北海道霊柩自動車協会副会長。前年度まで7年間、同委員会の初代委員長を務め、1993年の南西沖地震、2011年の東日本大震災でも現地で緊急遺体搬送を経験。2016年の熊本地震では、協会が東京都内に設置した災害対策中央本部で後方支援にも従事しているが、「しんどかった」と今回の活動を振り返る。

 三方を海に囲まれた能登半島で道路の寸断は大きな問題で、通行止めによるう回や渋滞も多く、車での移動には長時間を費やした。道路は地震による損傷で激しく隆起しており、「パンク車両が道路に並んでいる光景は今まで見たことがなかった」と語る。

 実際は金沢市内の宿に泊まれたため使うことはなかったが、現地の人に迷惑をかけるわけにはいかないと、野宿覚悟で自家発電機やテント、食料などを持参。新型コロナウイルス患者と思われる遺体の搬送時には、防護服や防護具を身に付けて作業に当たった。断水でトイレが使えない被災地では、持ち込んだ簡易トイレでしのいだ。

 帰省などで親戚が集まった元旦、地震で突如、家族や親族を亡くした遺族から、収まりきらない憤りをぶつけられたこともあった。これまでの経験から、遺族や被災者の心のケアの重要性を認識していた川道さんたちは、遺族の思いを受け止めようと話に耳を傾けた。安置所内の事務室では「函館から来ている搬送車がいる」と驚かれ、涙ながらに感謝して見送られた際は、被災で大変な状況の中での気遣いに涙があふれたという。

 川道さんは「被災され亡くなった方を一人でもお手伝いしたいという思いは、現地の状況を見てさらに強くなった。体力的にいつまでできるか分からないが、身体が続く限り、これからもお手伝いしていきたい」と話している。

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