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日高報知新聞

ハワイ語とアイヌ語の復興へ シシリムカ文化大学第2回講座【平取】

講義に耳を傾ける参加者たち

【平取】町主催のシシリムカ文化大学第2回講座「コトバと文化を地域の活力・魅力アップに」がこのほど、会場32人、ズーム31人、関係者10人の計73人が参加してイオル文化交流センターで行われた。

 講師は先住民言語の復興や言語とアイデンティティを研究するハワイ大学ヒロ校ハワイ語学部准教授、言語学科長の大原由美子さん。2008年からハワイ語の復興運動に携わり、近年は沖縄語とアイヌ語の復興への協力も行っている。

 この日は「コトバと文化への投資で輝きを取り戻したハワイ」をテーマに講義。他の言語を学ぶことの効果やハワイ語の歴史的背景や復興などから先祖の言語を学ぶ場合の活動、言語復興による自己肯定感と幸福感などについて説明した。

 大原さんは、先祖の言葉を失うことの代償として、「先祖代々伝えられてきた多大な知識を失う」「人類の財産を失う(製薬など)」「記述されていない言語が多く、どのような知識を失ったかもわからない」と挙げた。

 また、ハワイ語の復興の始まりにも触れ、1896年に教育の場で英語以外の言語使用が法律により禁止されたと説明。1983年数名が自身の子ども達を対象にハワイ語で教育を開始。行動を起こした理由として「祖父母がハワイ人であることを一番楽しんでいたのはハワイ語で話している時。笑い声、冗談、からかいがハワイ語でなされ、彼らの喜びは英語ではなくハワイ語で表現されていたことに起因する」とし、「初めは否定的だった祖父母達も、始めたことに長い間背負ってきた悲しみを下したようになった。政府からは全く援助も無く教材も手づくり。社会的背景、法律的・資金的な問題もあったがコツコツ続け、40年を経過した現在、保育園から博士課程までハワイ語を介して教育が行われている。生徒の学力、ハワイ先住民としてのアイデンティティも強化している」と紹介した。

 「まだまだ色々な問題もあるが、新しい話者の育成は、自己の先祖伝来の言語、文化、伝統に対する自尊心の回復につながる。文化的、社会的、政治的な意味での自己回復を取り戻すことにつながり、多言語、多文化社会への実現に貢献している」と結んだ。

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