映画「シサム」撮影開始 25日から町内で【白糠】
【白糠】町内を主なロケ地とし、アイヌ民族が題材の映画「シサム」の制作に協力する「ウレシパ・シラリカ」ロケツーリズム推進プロジェクト実行委員会(高橋隆助委員長)が24日、アイヌ文化活動施設「ウレシパチセ」で第2回委員会を開き、25日から町内での撮影を開始すると発表した。白糠に沿ったセットやせりふを取り入れており、関係者は大きな期待を寄せている。
制作のきっかけとなった人物は、今作を企画した東京都の合同会社プロテカの嘉山健一代表が、20年近く通っているという老舗焼き鳥店「鳥もと本店」(東京都杉並区)の伊與田康博店長。伊與田氏は釧路市音別町出身で、白糠産の海産物や山菜をメニューに取り入れている。
来店した嘉山代表が「とてもおいしい」と白糠の食材に興味を持ったことから、伊與田氏が棚野孝夫町長を紹介した。嘉山代表は棚野町長に誘われて2019年に来町。ウレシパチセを見学してアイヌ文化に触れ、友人の後押しなどもあって映画制作を決めた。
作品名の「シサム」はアイヌ語で「善き隣人」を意味し、松前藩の一人の和人が、蝦夷地のアイヌ文化を通じて自身を見つめ直す巨編となっている。新型コロナウイルスの感染拡大やセットの材料調達が難航した影響などで当初の計画より2年ほど遅れたが、2024年の完成、公開を予定している。
撮影は自然豊かな町内各地で行う。チセ(家)のセットは白糠アイヌ協会(天内重樹会長)が協力し、白糠のアイヌ民族に関する古い文献を基に建設しており、室内に炉が二つある白糠特有の造りになっている。作中のアイヌ語も同協会が協力した。
この日は、嘉山代表や同作の中尾浩之監督ら制作関係者、高橋委員長や天内会長ら実行委員、町関係者、伊與田氏が出席した。高橋委員長は「素晴らしい作品としていただき、町の活性化につながることに期待している」とあいさつ。嘉山代表が経過などを報告した。
伊與田氏は制作決定までのいきさつを説明し「白糠をより一層盛り上げるため、無事に撮影を終えてほしい」と述べた。中尾監督は「いよいよ撮影が始まる」と意気込みを見せ「町民が誇りに思える映画にしたい。引き続きご協力を」と呼び掛けた。
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