鶴田さんデザインのＴシャツを着て、ショーへの思いを膨らませる菅原さん

　遺愛女子高校３年の菅原鈴夏さん（１７）が２３日に那覇市で開かれる平和への祈りを込めたファッションショー「Ｐｒａｙ　ｆｏｒ　Ｐｅａｃｅ　Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎ」にヘアメークチームの一員として参加する。約２０万人が亡くなった１９４５（昭和２０）年の沖縄戦から７８年目の慰霊の日に初めて開かれるイベント。主催するｔｅｎｂｏ（千葉県）のデザイナーで、代表の鶴田能史さんの声掛けで参加が実現。菅原さん自身の目標につながる大きな一歩を経験する。

　昨年１２月に函館市女性会議（佐々木香会長）が主催したファッションショー「ハコダテコレクション」（函コレ）で衣装を手掛けるなど函館との縁を持つ鶴田さん。これまで被爆地の広島、長崎で開催。沖縄では初めてで、同県の子どもたちがモデルを務める。

　菅原さんは小学生の頃からヘアメーク業界に関心を持ち、高校卒業後の進路も理美容系の専門学校への進学を決めた。昨年の函コレではボランティアとして参加。鶴田さんのヘアメークを担当させてもらい、点字をデザインした衣装に合わせた髪型や化粧を施した。

　３月には自閉症啓発デーの一環で市内で開かれた鶴田さんの講演会を聴講。修了後に鶴田さんに遺愛高でのファッションショーを開いてほしいと思いを伝えると、沖縄のショーに誘われた。昨年１０月に修学旅行で訪れた沖縄で戦没者に道内出身者が多いことや「ガマ」に入って激戦に思いをはせた経験も重なり、「講演で鶴田さんが『願いは口に出したら叶えられる』と話していたのが印象にあって、『沖縄に行きたい』と思いを伝えた」と話す。

　遺愛高の了承を得てショー参加が決まり、本職のスタイリストたちと通信アプリを介してやりとりを重ね、アイデアも求められている。２２日夜に沖縄入りし、２３日に本番、２４日はショーに持ち込む函館の子どもたちが作った自然由来の粘土でできたオブジェを沖縄の海へと沈める。

　１０月には鶴田さんらと「遺愛コレクション」を同校講堂で開くことも決まった。２年生が修学旅行に行く前には自身の経験を伝えたいと考えている。菅原さんは「ファッションショーの現場の雰囲気を味わいたい」と期待を膨らませている。

　ショーにはロックバンド「ＬＵＮＡ　ＳＥＡ」のギタリストＳＵＧＩＺＯさんらがゲスト出演。午後２時開演で動画配信がある。佐々木会長は「鶴田さんのショーを通じて、戦争と平和への思いを共有してもらいたい」と視聴を呼び掛ける。詳細は二次元コード参照。