〝オソ18〟早期捕獲へ 農協で説明会【厚岸】
【厚岸】厚岸と標茶町で放牧中の乳牛を襲ったとみられるヒグマ、通称「OSO(オソ)18」について厚岸町は17日、釧路太田農協で説明会を開き、両町や道などの関係機関でつくる捕獲対応推進本部特別対策班の藤本靖NPO法人南知床ヒグマ情報センター理事長が、オソ18の特徴やこれまでの対応、今後の対策について解説した。
町内の農業者や関係者約20人が参加した。両町では2019年7月から22年8月まで、65頭の乳牛が死傷。体毛などのDNA鑑定から大半がオソ18によるものとみられている。
説明会では今年度の対応について、厚岸湖岸周辺道有林での足跡調査のほか、目撃情報を基にした自動撮影カメラやヘアトラップ、箱わなの設置。ドローンを使った飼料用デントコーン畑の空撮で被害状況の把握などに努めた。町営牧場では電気柵設置や放牧地変更などが功を奏し、今季の被害は出ていないことが報告された。
藤本理事長は、外見について「前足は16~17㌢、鼻が長く頭は金毛、体重は230~300㌔程度で年齢が10歳前後のごく一般的な体格の雄」と強調。一方で左後足上部に2本の傷があり、人の気配に敏感。沢や川沿いに移動する特徴を持ち、過去に牛を襲った場所は必ず事前に訪れ確認しているとした。当初、襲った牛を放置しているとみられたのは、餌が豊富で隠す必要がないか、人間や重機の立ち入りで寄りつかなかっただけとの見解を示した。
今後については、放牧地を沢や林から離れた高台や見晴らしの良い所に移したり、電気柵で囲うといった対策が効果的とした。また、他個体が捕食する可能性について、ヒグマは雌の食生活が子に影響を与えるとして、雄グマからは影響を受けないとした。
放牧型酪農を手掛ける片無去の小野寺孝一さん(67)は2年前、乳牛1頭が襲われた。「フェンスで囲うなどできることはしてきた。被害が続くようでは営農スタイルを変えざるを得ない」と危機感をあらわにする。藤本理事長は「目撃情報を共有し一刻も早く捕獲したい」と話し、足跡や目撃情報の提供を呼び掛けた。
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