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「箱館丸」ふね遺産に認定 日本人建造西洋帆船先駆けの価値評価【函館】

1988年の青函博で展示された幕府船であることを示す白地中黒の帆を広げた箱館丸の復元船。現在は西埠頭で展示している(提供)

 幕末の1857年に箱館奉行所の船として箱館で建造された西洋帆船「箱館丸」が日本船舶海洋工学会が認定する第6回「ふね遺産」に選ばれた。「日本人が建造したスクーナー型西洋帆船の先駆け」として価値が認められた。推薦者の新城光正さん(79)が所属する「函館の歴史的風土を守る会」(歴風会、佐々木馨会長)と、関連史料を所蔵する青森県弘前市立弘前図書館に認定証が贈られる。

 箱館丸は箱館の船大工、続豊治(つづき・とよじ 1798~1880年)が建造。2本のマストに船上から8枚の帆を展帆でき、「スクーナー」と呼ばれる船で、1854年のペリー艦隊の来港以降の箱館に寄港する外国船を参考にした続の技術と高い識見が技術革新をもたらした。完成後の58年には4カ月の航海で北海道一周、59年には7カ月で日本一周を達成。五稜郭設計者の武田斐三郎、近代郵便の父、前島密、函館の豪商、渡辺熊四郎(初代)らも同船に乗船した。船は69(明治2)年に廃船となった。

 申請者の新城さんは函館どつくの元社員。1988年開催の「青函博(青函トンネル開通記念博覧会)」の事業の一つとして復元が企画された箱館丸の設計を担った。この際に弘前市にも足を運び、弘前藩・津軽家に伝わる古文書などの史料も集めた。昨年7月に木古内町沖に沈む「咸臨丸」が第5回ふね遺産の認定を受けたことで同制度を知り、箱館丸関連の資料を整理し応募していた。

 認定を受け、新城さんは「造船業が衰退している中で港に関する新たな資源ができたことに感動している」と喜ぶ。佐々木会長(76)は「(認定に至ったのは)造船の現場で働いた新城さんならではの仕事で、歴風会としても応援してきた。異文化を受け入れて発展した函館の歴史力、文化力の総合が造船にもある」と話す。

 新城さんが手掛けた復元船は現在も西埠頭にある。復元時から活動する市民団体「よみがえる箱館丸の会」は毎年「海の日」に国際信号旗の掲揚など、箱館丸の顕彰に努めてきた。同会の澤田石久巳代表(73)は「ふね遺産となったことで全国発信につながる。後世の市民にも箱館丸という船を言い伝えていくことができる」と喜んでいる。

 ふね遺産は同学会が歴史的価値を認定し、文化的遺産として次世代に伝える事業として2016年に創設、翌年から認定を始めた。今年度は5日に発表され、箱館丸、大阪市の渡船など3件が認定を受けた。

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