宴会場を野菜工場に改装する「ホテルテトラ湯の川温泉」

　函館市内をはじめ、全国各地でホテルを展開する「ホテルテトラ」（梁川町、三浦孝司社長）は新年度から、自社のホテル施設を改装し、ウニの養殖、販売事業に着手する。新設する工場で育てた野菜を餌に、買い取った実入りの悪い痩せウニの発育を促し、ホテルや函館朝市内で販売。新事業を通じ、新型コロナウイルス禍で減少した売り上げ確保につなげたい考えだ。

　若いコンブの芽を食べてしまう痩せウニは、藻場が消滅する「磯焼け」の要因とされ、道南など道内の沿岸部で長年課題となってきた。同社は昨年から新事業の立ち上げを模索し、磯焼けの課題解決に向け、国の「事業再構築補助金」を活用し、計画を進める。

　痩せウニは道南の漁業者から安価で提供を受け、朝市内に設置する容量１トンの水槽２台に各５００～１０００個を収容。キタムラサキウニとエゾバフンウニに分け、２～３カ月でウニを入れ替え、実入りが良い状態になるまで発育を促し、年間５００キロの生産を初期目標とする。

　ウニの餌は、ホテルテトラ湯の川温泉（湯川町３）の約１００平方メートルの宴会場や、ホテルテトラ本館の地下スペースなどを野菜工場に改装し、レタスやキャベツを栽培。カプセル型のプランターで水分量を自動で感知し、調節する水耕栽培の設備を導入する。

　ウニは朝市内でイートインで提供するほか、ホテルテトラ本館で冷凍し販売、通信販売も予定。２４年には１億円、２７年には２億円の売り上げを目標としており、同社の三浦裕太常務は「コロナの影響で将来を考えると、ホテル業界は今後伸びていく業種ではない。地域の企業としてビジネスで課題を解決できる事業を目指したい」と意気込んでいる。