100年前の資料を現代に 「鵡川村記念写真帖」アーカイブ映像に むかわ町教委
むかわ町教育委員会は、町郷土資料館で眠っていた1928(昭和3)年刊行の記念誌「鵡川村記念写真帖」をアーカイブ映像にまとめた。明治後期から昭和初期にかけて、鵡川、穂別それぞれの地区で発展に貢献した人物や当時の生活の様子などを写真と記事で紹介した一冊で、先人の苦労や地域の歴史を現代に伝えることができる貴重な資料。写真帖の映像は、町のホームページで公開している。
記念写真帖は、1895(明治28)年にむかわ町の前身でもある鵡川外七カ村戸長役場の設置から35周年を記念して刊行された。表紙に青色の錦布を使ったクロス張りのとじ本。A4判ほどの大きさで、92ページ。寄贈者などは不明。刊行された1928(昭和3)年は昭和天皇の即位年に当たり、10月1、2日に開村35年記念祭が開催されたという。
町教委や「鵡川町史」などによると、鵡川外七カ村は鵡川村、井目戸村、似湾村、穂別村などの8カ村で構成されていたが、12(明治45)年に似湾村など3カ村は分離した。15(大正4)年の北海道二級町村制施行で、同年に鵡川村、19(同8)年に旧穂別町の前身でもある似湾村が成立した―とされる。
写真帖には、分離する以前に活躍した人物や当時の街並み、家屋、農林水産業の様子などを撮った写真がすべてはがきサイズほどの大きさで掲載されている。主な場所は鵡川村の役場庁舎や市街地、尋常高等小学校、旧穂別町の前身でもある似湾村役場の庁舎、郵便局などで、かつて市街地で栄えていた旅館や理髪店、呉服店も一緒に紹介されている。
町教委の田代雄介学芸員は「車もない、インターネットもない中でどのように集まり、連絡を取り合って製作したのか。相当なお金が掛かっているのでは」と目を細めて写真帖を見る。「当時の街並みや家の造り、自動車が普及していない時代で移動は馬車だったこと、着ている物や生活の様子がありありと分かる」と話している。
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